茂木健一郎 /北川拓也
【
第14回】さまざまな国籍の人が、混ざり合う社会が心地いい。
日本とアメリカの間には、大きな不平等がある。それを是正するためには、英語を習得することが不可欠だ。自ら、学術研究の世界で英語の強大な影響力を感じてきた茂木さんは、英語を習得する必要性を主張してきた。しかし、それは時に「欧米礼賛主義者」だと批判されることもあり――。
英語の影響力を認めるのは、欧米礼賛主義?
茂木 国内にinequality(不平等)があると、恵まれない人のセルフ・エフィカシー(自己効力感)が高まらないというもの大きな問題なんだけど、おれは、もう一つ気になっていることがあるんだよね。それは、日本とアメリカの間にあるinequalityのこと。これが、日本人のセルフエフィカシー(自己効力感)を下げてるんじゃないかと思う。もうね、日本人、諦めてんの。
北川 えっ、そうなんですか。
茂木 そうだよ。Google、Facebook、Twitter、Appleみたいな、世界にプラットフォームをつくれる企業が、日本から生まれることはもうないって思ってるんじゃないかな。
北川 うーん、ありえないとは思いませんが……
茂木 アカデミア(学術界)だって、ハーバードの先生が日本に来てレクチャーする場合と、東大の先生がアメリカに行ってレクチャーする場合には、明らかなinequalityがある。日本と、世界のパラダイムを握っているイングリッシュスピーキングのsociety(社会)の間には、ものすごいinequalityが放置されてる。これを解消しないと、日本は救われない気がする。

北川 そうですね。
茂木 北川みたいに日本からアメリカに行って活躍している人が媒介になったり、日本企業がアメリカに進出してプラットフォームを構築したりできたら、それはひとつのinequalityの是正になると思うけどね。
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この連載について
茂木健一郎 /北川拓也
日本経済が停滞して久しい。一方で、アメリカではIT産業の新しい成功モデルがどんどん生まれている。この違いはどこにあるのか。
ここで登場するのが2人の天才。高校卒業後、8年間ハーバード大学で活動している理論物理学者・北川拓也。一方、1...もっと読む
著者プロフィール
1962年生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、東京工業大学大学院連携教授。東京大学理学部物理学科、同大学法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学研究員を経て現職。専門は脳科学、認知科学。「クオリア」(感覚のもつ質感)をキーワードとした、心脳問題についての研究を行なっている。全国各地での講演活動や、テレビ出演、雑誌への寄稿など精力的に活動し、Twitterのフォロワーが50万人を超える(2013年8月現在)など、その発言は若者から中高年まで多くの日本人に注目されている。
Twitter:@kenichiromogi
1985年生まれ。灘中学校、灘高等学校を卒業。高校時代に化学オリンピックで国内最優秀賞を受賞。高校卒業後、現役でハーバード大学に合格。数学、物理学科を専攻し、ダブルメジャーで最優等の成績をとり卒業。その後ハーバードの大学院に進み、2013 年、博士過程を修了。今までに15本以上の論文が国際雑誌(Science, Nature communicationsなど)に取り上げられ、その内の3つの論文が編集長に特別に重要な論文として指定された。世界中の物理学者と共同研究をし、これまで20以上の研究所や国際学会で招待講演をしている。現在は、楽天でデータサイエンスのチームを率いている。
Twitter:@takuyakitagawa