「すべてを俯瞰で見えてしまうがゆえの孤独」を歌う高校生男子
柴那典(以下、柴) 前回はドリカムがテーマでしたけど、今回は新世代の話をしようと思います。2人の天才男子高校生がJ-POPを革新するという話。
大谷ノブ彦(以下、大谷) 僕も噂は聞いてますよ。すごいやつがいるって。
柴 そうなんです。とんでもない天才が出てきた。まず一人は「ぼくのりりっくのぼうよみ」という、高校3年生の男子ラップシンガー。
大谷 あ、彼、高校生なんだ!
柴 彼は12月にデビューアルバム『hollow world』をリリースするんですが、いち早くその音源を聴かせてもらって、マジで鳥肌が立ちました。ちょっとこれ聞いてみてください。
【ニコラップ】[sub/objective]【ぼくのりりっくのぼうよみ】
大谷 僕も最近知りました。衝撃でしたね。
柴 曲はメロウで心地よくて、歌もすごくうまい。でも、それだけじゃないんですよね。すごく深い文学性みたいなものも感じる。
彼は去年の「閃光ライオット」※でファイナリストになったんです。そこで披露したさきほどの「sub/objective」という曲をSEKAI NO OWARIのFukaseやサカナクションの山口一郎が「すごい」とラジオで語っていて。そこから噂が広がって、僕もそれをきっかけに知った。
※2014年までやっていた出場者が10代限定の夏フェス
大谷 そのあたりの人たちが絶賛するのもわかる気がするなあ。
柴 こないだ「パッチワーク」という曲が配信リリースされたんですが、これもすごくいいんです。早くも各所から絶賛を集めている。
大谷 彼はラッパーという立ち位置ですけれど、日本のヒップホップのシーンの文化とはまったく違うところにいますよね。
柴 そうですね。そこの文脈で語れる才能じゃないと思います。
大谷 「高田純次、加山雄三……おもしろみしかないヒップホップの鉱脈」で話したように、今はヒップホップシーンに新しい波がどんどん生まれている。でも、そこのシーンのアイコンになる感じじゃない。彼はどこから出てきたんですかね。
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