蛭子の論語

第4回】井村屋さんのあの固いあずきバー

前著『ひとりぼっちを笑うな』が大きな反響を呼んだ蛭子能収。11月10日に発売される新作のテーマはなんと「論語」。孔子が残した言葉の数々を見て、蛭子は何を思い、語るのか。この連載では新書最新刊『蛭子の論語
自由に生きるためのヒント』(角川新書)から、エッセンスを抽出してお届けいたします。息が詰まるような現代で自由に生きるためのヒントが満載、お楽しみください。


蛭子の論語 自由に生きるためのヒント

●ノンポリで生きる

子四を絶つ。意なる毋れ、必なる毋れ、固なる毋れ、我なる毋れ、と。
(子罕第九 四)

【訳】老先生は次の四者を絶たれた。己の意ばかりになるな、決めたことにこだわるな、執着するな、利己的になるな、と。
【編集部訳】主張すること、こだわること、執着すること、利己的になること—孔子は、その4つのことを絶った。

 主張しない、こだわらない、執着しない、利己的にならない—これ、かなり僕の考え方に似てますね。仕事に関して言えば、僕もまったくこのとおり。基本的には、他人から言われたことを、言われたとおりやるだけですからね。この4つのことは完全にクリアしています。ただし、プライベートはちょっと違うかもしれない。

 家族も誰もいない、ひとりっきりになれる時間が絶対に必要という「こだわり」があるんです。今は月に1回とか2回、そういう日を女房に作ってもらっています。その日は、朝早くから起きて、平和島に行って前売りで舟券を買って、映画を観て、そのあとゆっくり競艇のレースを観戦します。でも、それぐらいかな? その他は、特にこだわりはないし食べ物も何でもいい。こだわりといったら、夜に大好きなあずきバーを食べるくらい。僕、『井村屋』さんのあずきバーが、昔から大好きなんですよ。だから、いつも近所のスーパーで箱に入ったお徳用を買っていたんですけど、最近それがあまり売ってない! 井村屋のものがなければ、違うメーカーのものを買って帰るだけなんですけどね。これもまた、こだわりとしてはちょっと弱いですかね。

 とにかく、誰かに語って聞かせるほど深いこだわりが、僕にはまったくないんです。雑誌の取材とかで、「こだわりの品を教えてください」って聞かれると、いつも困ってしまう。漫画を描くときは、一応パイロットのドローイングペンというのを使っています。太い線を描くときは0.8ミリ、細い線を描くときは0.3ミリを使っているんだけど、このペンも最近あまりお店で見かけなくなったので、そのときは似たようなペンを買えば事足ります。好みはあるけど、「絶対にそれじゃなければダメ!」っていうほどのものじゃないんです。好き嫌いはもちろんあるにせよ、強いこだわりはやっぱりない。

 でも、こだわりって、そんなに必要なものなんですかね? その人が本当に好きでこだわっているならいいとして、誰かに言うためのこだわり、言わば「見栄」みたいなものが混じっていたりはしないのかな? 「個性」の話と似ていますよね。「人は誰しも、個性的であらねばならない」みたいなことを言うじゃないですか。それと同じように、「人は誰しも、こだわりのひとつやふたつ持っていなくてはならない」みたいな、ね。そういう世の中の空気感というか、無言の押し付けみたいなものが、僕にはあるように思えてならない。それって、どうなんだろうな?

人間って、こだわりがないほうが圧倒的に生きやすいんじゃないかな?

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前著『ひとりぼっちを笑うな』が大きな反響を呼んだ蛭子能収。11月10日に発売される新作のテーマはなんと「論語」。孔子が残した言葉の数々を見て、蛭子は何を思い、語るのか。この連載では新書最新刊『蛭子の論語 自由に生きるためのヒント』(角...もっと読む

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コメント

imagawaikuo こだわらないほうが生きやすいに決まってる。問題は、蛭子さんのように実践できるかだよなあ。▼ 3年弱前 replyretweetfavorite

y_miya3 @IMURAYA_DM おはようざごいます。こんな記事が つ https://t.co/o0srMvagsW 3年弱前 replyretweetfavorite