第11回】出版業界~アマゾンや電子書籍の来襲が追い打ちをかける市場の縮小

この10年間で書店の数は激減。その間にアマゾンは出版業界トップにのし上がった。そのため、書店減少の背景にアマゾンあり、と思われがちだが、実際にはそれほど簡単な構図ではない。まず、家電など他のジャンルと異なり、書籍や雑誌には小売店側による値引きが難しい再販売価格維持制度という仕組みがある。アマゾンといえども無軌道な安売りはできない。さらに日本だけの特殊事情として、「取次」という存在が挙げられる。

 また一つ、書店の灯火が消えた。東京・世田谷区に住む男性は、自宅付近の書店がいつの間にか閉店していたことを知って驚いた。急いでいるときは、職場からアマゾンで注文することが多いが、「時々週末に、この書店を娘と訪ねるのが楽しみの一つだった」からだ。

 この10年間で、書店の数は激減(図2‐4参照)。一方で、その間にアマゾンは出版業界トップにのし上がった。そのことから、書店減少の背景にアマゾンあり、と思われがちだが、実際には、それほど簡単な構図ではない。

 まず、家電やファッション、その他のジャンルと異なり、書籍や雑誌には小売店側による値引きが難しい再販売価格維持制度という仕組みがある。アマゾンといえども、無軌道な安売りはできない。

 さらに、日本だけの特殊事情として、「取次」という存在が挙げられる。取次とは出版社と書店の間に入り、全国津々浦々の書店に本を卸す物流や決済機能などを管理している。日本では、実質、大手取次を介さなければ、新品の書籍を販売することは難しい。

 出版業界に詳しい業界紙の関係者は「大手取次は、一部の大手書店だけを優遇しようという考えを取らない。小さな書店でも無視せずに、本を卸す。この取次の調整機能が、本来なら生まれるであろう書店間の格差を平等化する役割を果たしてきた」と明かす。

 さらに、書店数のみならず、書籍・雑誌の販売金額、部数共に、右肩下がりの状況にある。つまり、売り方が変わっただけではなく、書籍や雑誌そのものが以前に比べ読者に支持されなくなっていることも背景にあるのだ。

 そこにアマゾンという巨大な黒船が来襲し、市場の崩壊が加速したというわけだ。

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楽天とアマゾンの熾烈な戦いの結果、価格や送料は下がり続けている。その波は他の業界にも及び、秩序を破壊しつつあるのだ。家電、出版、ファッション、運輸などは壊滅的な打撃を受けそうだ。※この連載は、2012年12月15日号に掲載された特集を...もっと読む

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