バックヤードで「地」を出し過ぎちゃうと、思わぬ落とし穴が…

秋葉原のメイド喫茶で働いているメイドさんもお仕事が終わると普通の女の子。さて、どんな人達が働いているのでしょうか。リフレ店で数年間働いていた元メイドの中川嶺子さんの著書『職業としてのアキバ・メイド』では、さまざまなタイプのメイドさんをご紹介。メイドさん同士の仲が良いと店の雰囲気も良くなりますが、仲が良すぎて恋バナをしてしまったりご主人様に住所を教えてしまったりと、思わぬ落とし穴もあるようで……。

〈メイド図鑑その3〉仕事を忘れて恋バナに熱中してしまう子たち

 お客さんとの会話が特に重要な仕事の一つでもある秋葉原には、おしゃべりが大好きな女の子たちが多く集まっている。

 お客さんたちとの会話は、お客さんとの相性が良かろうが悪かろうが絶対必要不可欠。働いている以上避けては通れないものであるが、同僚の女の子同士の会話はそれとはまったく違うものである。

 それに、働いている女の子たちのほとんどが同世代のため、気の合う子がいれば割とすぐに仲良くなるのだ。  そのため、バックヤードはいつもまるで女子高の教室のように賑やかで騒がしい。

 一緒に働いている女の子たちの仲がいいことはお店の雰囲気も明るくするし、同時にお客さんたちからも「このお店の子たちはいつも仲が良さそうでいいね」「可愛い女の子たちが楽しそうに話しているのを見てるだけで、こっちまで癒されるなー」などということをよく言われたものである。

 私自身も女の子たちが互いにいがみ合っている殺伐とした空気の中で働くよりも、和気あいあいとした和やかな空気の中で働くほうが断然楽しかったし、変な気を遣わずに接客にだけ集中できた。

 これはきっとどんな職場でも、同じことが言えるのではないだろうか。

 人間関係が殺伐とした緊張感のある職場で働くことほど、ストレスが溜まることはないのだから。

 だが、仲がいいことはとても良いことだと言っても、仲が良すぎるのも時には少々考えものだなと思った出来事がいくつかあった。

 まず一つ目は、私がお客さんの接客をしていた時にふと受付にいる女の子たちの会話が聞こえてきた時のこと。  お店の中でも特に仲の良かった2人の女の子がちょうど受付に座っていたようで、楽しそうに彼氏の話をしている会話が聞こえてきたのである。

 別に彼氏の話をしてはいけないという訳ではないのだが、やはり秋葉原ではあまり大きな声で話さないほうがいい話ではあるだろう。

 しかし、受付の位置が私のいた施術部屋と距離がとても近かったこともあり、お客さんとの会話が途切れると女の子たちの会話がはっきりと丸聞こえになってしまうのだ。

 しかも、女の子たちは恋バナにテンションが上がってきたのか、自分たちの立場や周囲の状況を考えず、声のボリュームもどんどん上がっていってしまい、かなり赤裸々な彼氏との恋愛事情が聞こえてきたのである。

 一瞬、私とお客さんとの間にとても気まずい空気が流れたのだが、お店に長く通ってくれていた常連さんだったので、「若い子たちは楽しそうでいいねー。でもお客さんも彼氏の話とかは聞きたくない人もいるだろうし、あんまり大きな声では話さないほうがいいかもね」と軽く流して笑ってくれた。

 私もまさかあんなに堂々と受付で彼氏の話をするとは思ってもいなかったため、内心ヒヤヒヤしていたのだが、このお客さんが心の広い人で良かったと、心からホッとしたのだった。

 お客さんの中には、お店の女の子たちにピュアなイメージを抱いている人や、恋愛感情を抱いている人もいるため、いくら友達との会話が楽しくてもその辺りは周囲への配慮が必要なのである。

〈メイド図鑑その4〉空気を読めない子たち

 二つ目の出来事は、おしゃべりに夢中になっていて、周囲の状況判断を疎(おろそ)かにしてしまうというもの。

 仲の良い友達とシフトが重なって顔を合わせるといろいろ話したくなってしまうのもわかるが、秋葉原での仕事はお客さんの接客以外にもやらなければならないことが結構あるのだ。

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この連載について

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職業としてのアキバ・メイド

中川嶺子

リフレ店で数年間働いていた元メイドの中川嶺子さん。著書『職業としてのアキバ・メイド』では、赤裸々な実態を告白。そこは「メンヘラ」な女の子が、“ビンタ1000円”を買う男たちのために過激メニューをこなし、自ら「裏オプション」をつくって“...もっと読む

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