生きるヒントが詰まっている、魂のメッセージ
障害と病気を背負って生まれる、赤ちゃんの勇気
先天性の障害や病気を持って生まれてくる赤ちゃんたち。中間生の記憶のある子どもに「どうしてだろう?」と聞くと、「みんな、どんな体で生まれてくるか、自分で決めるんだよ」と教えてくれます。
人生のシナリオとして、あえてハンディキャップを選び、勇気凛凛でチャレンジする。今までの過去世でも、たくさんの経験を積み重ねてきて、魂のレベルはずっと先の方まで進んでいるんでしょうね。
だから〝可哀想〞ではなく、〝素晴らしい〞子どもたちなのです。
その子どもたちに選ばれたお母さんの人生も、平坦なものではありません。効率優先・経済至上主義の現代社会にあって、偏見はちっともなくならないし、バリアフリーも掛け声だけ。障害児や障害者をあるがままに受け入れ、個性を大事にする学校や職場は限られています。経済的支援も十分とはいえないでしょう。ショックで、初めは「産むんじゃなかった」と嘆く人だっているはずです。
でも、ママこそが人生のベスト・パートナー。多くの人が「この子のおかげで、人間として大きく成長できたと思います」「たくさんの仲間と出会い、人間の可能性を信じることができました」などと胸をはって語ってくれています。
心臓病と喘息と鼠蹊(そけい)ヘルニアを持って生まれ、入退院を繰り返すりお君(当時5歳)は、「神様が手術したほうがいいって言ってた」と辛い治療を受け入れ、医療スタッフには「先生、助けてくれるの? ありがとう!」とにっこり。喘息になった理由も「だって、治すのが面白いからね」といつも前向きです。お母さんの言葉を引用してみましょう。
「先天性の病気ということで、私は辛い気持ちを引きずっていました。けれど、りおにそう言ってもらって、気が楽になりました。それに、喘息も治せるはずだって、明るい気持ちになりました。
りおが病気でうまれたため、本当にたいへんでした。けれど、家族の支えがあったから乗り越えられましたし、たくさんの経験を積ませてもらいました。りおのおかげで出会った、病気と共に生きる子どもたちのことを、私は決して忘れないでしょう。りおは、生きていること自体が奇跡なのだということ、そして家族の大切さを、気づかせてくれました。感謝の気持ちでいっぱいです」(『子どもは親を選んで生まれてくる』日本教文社)
命とは、奇跡そのものなんですね。
かつて日本では、障害を持って生まれた赤ちゃんを「観音様の生まれ変わり」として、大切に考える風習がありました。
観音様は、正式には観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)。人々がその名を称え、救いを求める声=音を聞きつけたら、即行で飛んできて諸苦難から救ってくれる方です。救いを求める人に合わせて、臨機応変に33の姿に変化(へんげ)して現れるとも言われています。
仏教の修行の中で、1番重要だとされているのは「利他行(りたぎょう)」といって、自分のことは後回しにして、困っている人(他者)につくし、助けてあげることです。自己犠牲、あるいはボランティア精神といいましょうか。その献身的な行いによって魂が磨かれ、仏の悟りに少しずつ近くことができるとされます。「功徳を積む」「陰徳を積む」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これも善い行いでレベルアップするという意味です。
障害のある人は、赤ちゃんでも大人でも、周りの人の助けがなければ生きていけません。身近に障害者(児)がいる人は、自然と利他行に励むことになります。つまり観音様は、私たちが無理なく修行に勤しめるように、障害のあるお姿にわざわざ変化して、この世に来てくださったという意味なんですね。
だからお世話をする人は、恩着せがましくいばってはいけない。功徳を積ませていただき、ありがとうございますと、感謝しなければなりません。ましていじめるなんて、とんでもないことです。
私は、とても深い人間の知恵だと感激しました。お釈迦様や観音様から見たら、生きとし生けるものは、みんな平等。役に立たない人間なんていないんです。障害者は、その地域共同体の中で、人々を救うという役割をちゃんと持ち、一緒に暮らしている。引け目に思うことは何一つない。近代の福祉より、100万倍も賢いと思いませんか?
もう1つ、乳児院や養護施設で暮らす子どもたちも、同じように大切な役割を持っていることを知っておきましょう。
「僕たちがここに来たのは、人を愛することを、周りの人に知ってもらうため」
彼らが施設にいるおかげで、多くの人が子どもを愛する無償の喜びと、育てる楽しさを手にすることができます。そこで保育や児童福祉のプロとして経験を重ねたスタッフは、次に施設にくる子を、もっと上手にケアすることもできるでしょう。勇気ある魂が、幸せの連鎖を運んでくれるのです。
「不自由な体に生まれたからこそ、人の役に立つことができる」
「親との別離という悲しみを引き受けても、大事なミッションをやり遂げたい」
健気で勇敢な魂がこの世界にはいっぱい存在します。くじけそうになった日は、そのことを思い出してください。