ここは東京西新宿、 医療器具メーカー「ドブ板メディカル株式会社」に最近美女が加わりました。
陽太「河合さーん」
提携先からの出向者、河合さんです。 帰る途中の廊下で河合さんの姿を見つけた三年目営業の出来内陽太(デキナイ・ヨウタ)は、ニコニコと河合さんに声をかけました。
河合さん「なんでしょうか」
と、黒いスーツに身を包んだ河合さんはクールに振り返ります。
その姿を見て、
今日も河合さんはかわいいぜ!
と陽太は心の中でガッツポーズを取りました。 そう、陽太は、ちょびっと河合さんにフォーリンラブなのでした。
陽太「来月の忘年会なんだけど、営業部では若手全員で幹事することになってて、よかったら河合さんも一緒にどう?」
河合さん「お断りします」
陽太「即答!!!」
2秒もかけない返答に陽太は驚きました。
陽太「河合さん、少しは躊躇する振りぐらいしてよ! そんな即断即決、僕、傷つくよ!」
河合さん「そんなこと言われても、やりたくないものはやりたくないんです」
陽太「そんな……でも河合さん出向してきたばかりじゃん? 幹事すれば他の人とも仲良くなれるよ」
陽太の言葉に河合さんは失笑しました。
河合さん「私にそんな必要があるとでも?」
陽太「クールだなあ……」
河合さん「この会社は私のキャリアの通過点にすぎませんから、なれ合いは不要です。それに」
そう言って河合さんはため息をつきました。
河合さん「それにそもそもわけがわからないんですよ。会社のイベントって」
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