容姿が見えないオーディション、選ばれる条件は「声」だけ
アメリカには、「American Idol(アメリカン・アイドル)」や「America’s Got Talent(アメリカズ・ゴット・タレント)」といった勝ち抜き方式のタレント発掘オーディション番組がいくつもある。
私はこの二つの番組に馴染めなかったのだけれど、2011年に始まった新人歌手オーディション番組の「The Voice」にはなぜかハマってしまい、初回からずっと観続けている。
公式サイトより
The Voiceには、前述のアメリカン・アイドルやアメリカズ・ゴット・タレントと違い、コメンテーター的な「審判」がいない。そのかわりに4人のプロのミュージシャンが「コーチ」として自分のチームに入る新人をスカウトし、優勝に導くという方式だ。(第一シーズンのコーチは、アダム・レヴィーン、シーロー・グリーン、クリスティーナ・アギレラ、ブレイク・シェルトンだった。クリスティーナとシーローのかわりに、アッシャー、ファレル・ウィリアムス、シャキーラ、グエン・ステファニーがコーチを務めることもある)。
挑戦者は賞金10万ドル(約1250万円)とユニヴァーサル・ミュージック・グループとのレコード契約をかけて戦い、コーチはミュージシャンをスカウトして才能を開花させる腕前を競う。
私が番組を観たきっかけは、コーチが候補者を選ぶときの「blind audition(ブラインド・オーディション)」というシステムに興味を持ったためだ。参加候補者がステージで歌う間、コーチたちの席は観客席のほうを向いている。「この人を自分のチームに欲しい!」と決めてボタンを押すと、椅子がくるりと回って歌っている人をようやく見ることができるという仕組みだ。つまり、コーチにとって判断の材料は「声だけ」。ルックスという先入観を完璧に排除できる。
公式サイトより
高音が美しいから女の子だと思っていたのに、いざ椅子が回って歌手を見たら男性で「えっ。声と実像が全然違う!」とコーチが目を丸くするケースもある。この意外性が病みつきになる。
中年の既婚者でも「新人歌手候補」になれる
競争をさらに面白くするためだろう。この番組には次のように異なるラウンドが用意されている。