男がイジってくるなら女からもイジらせてもらう
「誰か“テイラー・スウィフトにもっとお尻を”っていうクラウドファンディングをはじめるべきだろ」
これは世界的なDJのディプロが約1年前にツイートした内容だ。対してロードはこう物申した。
「そのあいだにあなたの短小チンコもどうにかしたほうがいいんじゃない」
テイラーをイジる、大人気ない年上の男を短小呼ばわりする、18歳のシンガーソングライターの度胸と賢さには恐れ入った。超有名人とは言え(ちなみに、ディプロはロードの曲のリミックスを担当した仲である)、女性蔑視な放言には変わりない。えげつない言葉に一瞬ぎょっとするが、ユーモラスに批判する、痛快な切り返しだ。
人は、友人が悪く言われていても、はっきりと擁護できなかったりする。余計なお世話になるんじゃないかとか、悪口の主との関係を悪化させたくないとか考えてしまい、にごして終わらせる場合のほうが多いんじゃないだろうか。
テイラーに向けられたディプロの言葉の本質には、多くの若い女性にもつきまとう問題が潜んでいる。だからロードにとっては他人事ではなかったのかもしれない。
女性の性役割が、貞淑な主婦か淫らな娼婦か、と当たり前のように分断されていることをフェミニズムが明らかにしたのは、ほんの30〜40年前。現在はと言うと、良妻賢母であり、かつ身綺麗でもあることも求められる視線に女性たちはさらされている。ディプロの揶揄は、仕事で成功するなど、女が望んだものを手にすると「でもあいつモテないよな」と恋愛市場での価値の低さで貶める、というケースに当てはまる。
しかし、こういう男たちの理不尽な声に対してもうテイラーはひとりで立ち向かう必要はない。彼女の周囲では女の連帯が強まっており、ロードのような擁護してくれる友人もいるからだ。
仕事を取るか、友情を取るか
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