【メンバー紹介(仮名)】
テニ美
23歳/編集者/腐女子歴15年
ミュージカル『テニスの王子様』をこよなく愛する、テニミュ大好き芸人。7代目青学メンバーを箱推ししており、彼らの卒業後は、2.5次元以外の舞台にも足を運ぶように。腐女子だが、とくに推している俳優Aくんに対してはガチ恋でもある。
デス乃
27歳/広告系/腐女子歴14年
ナベプロ所属のイケメン俳優から2.5次元舞台俳優まで、若手俳優界隈をこよなく愛し、ストレートプレイや東宝系のミュージカルまで幅広く通う。今年ハマったのはミュージカル『デスノート』。
サツ絵
29歳/会社員/腐女子歴15年
特撮・仮面ライダー好きのROM専腐女子。元ジャニオタ。一時期ミュージカル『テニスの王子様』にハマっていたが、推しの芸能界引退で熱は落ち着き、今はゆるゆると経過を見守っている。
ペダ子
26歳/既婚/デザイン系/腐女子歴16年
腐女子というか全方位ミーハー女子で、BLもたしなむ。関西出身で学生演劇に身を投じていたために宝塚歌劇&小劇場演劇が大好き。演出家の西田シャトナーファンだったために舞台『弱虫ペダル』を観に行き、そこから2.5次元沼へ。趣味は若手俳優のTwitter探偵。
2.5次元俳優は「プロのイタコ」?
編集R 「2.5次元のどういうところに萌えるのか」アンケートですが、ほかに、
2次元での推しキャラについては2.5次元でも同じように萌えられるのですが、2.5次元で初めて目覚めるキャラや関係性もあっておもしろいです。
というご意見もありました。このあたりはまさに神作家の同人誌を読んでこれまで興味のなかったカップリングに目覚めるのと同じ現象ですよね。
テニ美 そうそう。しかもその「作家」っていうのが、演出家や脚本家だけじゃなくて俳優本人でもある、っていうのが2.5次元の醍醐味で。テニミュをはじめとした2.5次元舞台ではアドリブや日替わりの寸劇があったりするんですけど、それって俳優さんが考えてるんです。しかも原作の細かいネタとかを拾って。
岡田 へえ〜〜! 変な言い方ですが、「やらされてる」わけじゃないんですね。
デス乃 「舞台の上での地図は台本だけだ」って言ってしまう俳優さんもいるんだけど、そうやって原作を読み込んで取り入れてくれた結果の新解釈だとすごくうれしいですよね。
テニ美 そして、その取り入れ方がうまい人を好きになるところはある。同人作家にたとえて言うと、それぞれの役者さんに「こ、この人は名のある壁サークルのお方では!?」って感動することもあるし、「新人ならではの荒削りな解釈……だがこれはこれで新しい」みたいに萌えるときもあって。
デス乃 独自性も出しつつ「みんなの考えているそのキャラクター像」を再現することを目指している俳優さんは素晴らしいとは思います。佐藤流司くんとか。
テニ美 流司くんは本当にすごいですよね……。
岡田 あ、ミュージカル『刀剣乱舞』の加州清光役ですよね。
デス乃 そうです。もう、2.5次元の申し子のような感じなんです。プロのイタコでありつつ、ファンが知っていた以上の物語を教えてくれる。
テニ美 私が流司くんを最初に「すごい!」と思ったのはテニミュの四天宝寺公演ですね。日替わり寸劇に『テニスの王子様』のOVAネタを入れてきたんですよ! 原作やアニメ本編ネタならともかく、OVAって…本当にびっくりしました。その後も、四天宝寺の日替わりは流司くんを中心に考えるようになっていて、全国立海公演の時は全69公演ほとんど全て違う日替わり芝居を披露してくれました。
ミュージカル『刀剣乱舞』は、役者にゆだねられるアドリブパートはほとんどないのですが、ゲームのしゃべり方に意識的に寄せてきていたり、自分のセリフじゃない時も加州清光がやりそうな動き……髪の毛をいじっていたりとか……をしていて、めちゃくちゃ研究したんだなって思いました。本当に恐山から来たのかもしれない……。
岡田 どこの恐山だよ(笑)。しかし、なるほどな〜。えーとですね、ぶっちゃけ、2.5次元舞台出身の俳優さんが他の作品に進出なさるのを観ると、第一印象は大抵「歌と芝居、もうちょっと頑張ってほしい……」だったんです。非常に申し訳ないけど、「この人の何がそんなに人気なの?」と思うことも多々あった。でも、その疑問が氷解した気がします。
2.5次元舞台では、歌やダンス、基礎の演技力、そしてビジュアルだけではなくて、「いかに原作のキャラクターを自分の中に取り込めるか、それを料理して、原作ファンでもある観客をうならせるような形で提示できるか」という点が、とても重視され、評価されているんですね。すごいことだ……。それこそ、若いうちは荒削りでも、その経験を肥やしに年齢を重ねて名優怪優になっていく人も多いだろうなぁ。
2.5次元舞台に立つには、キャラクターに近寄る努力が重要
岡田 いやー、聞けば聞くほど、2.5次元舞台のこと全然知らなかったなぁと身につまされます。つまり、ある意味で2.5次元俳優のみなさんは、従来の舞台俳優の仕事とは、ちょっと違うことをやっている、とも言えるわけですよね。「俺の解釈したハムレットを観て萌えろ!」じゃなくて「みんなが観たい萌えるハムレットって、これだろ?」みたいな……うーん、男子アイドルがステージで「理想の彼氏」像を演じ続けるというより、複雑!
ペダ子 そう。でも、そういう「2.5次元ならではの演技」って、たぶん一般に認知されてしまった俳優さんだとできない気がします。
岡田 すでに自分の演技観みたいなものを持ってしまっているから?
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