天文学のスター教授、突然の退職
「太陽系外惑星」に興味がある人なら、カリフォルニア大学バークレー校のジェフリー・マーシー教授の名前は何度か目にしたことがあるはずだ。
初期に発見された太陽系外惑星100のうち70は、マーシーがポール・バトラー、デブラ・フィッシャーと共に発見したものであり、アンドロメダ座のυ星(ウプシロン星)の周りを公転している惑星もバトラーと共に発見した。
マーシー教授は、太陽系外惑星の「惑星ハンター」だけでなく、10年を費やして宇宙で地球外知的生命体を調査していく「Breakthrough Listen(ブレイクスルー・リスン)」の研究監督(PI)も務めていた。スティーブン・ホーキング博士も関わっている1億ドル(約124億円)もの大規模なプロジェクトだ。NASAのケプラー宇宙望遠鏡のミッションにも関わっており、アメリカで最も有名な天文学者のひとりである。
ところが、将来のノーベル賞受賞さえ噂されていたこの大スターが、10月15 日に突然教授の地位と「ブレイクスルー・リスン」の職を自ら去ったのである。
理由は「セクシャルハラスメント」だ。
カリフォルニア大学バークレー校は、4名の女学生からのセクハラの訴えに応じて半年にわたってマーシー教授についての内密の調査を行い、彼がセクハラ・ポリシーに違反したという結論を出していた。しかし、大学が教授に与えた罰は、「今後行いを改めないと、停職や解雇を含めた制裁措置を取る可能性もありますよ」という警告だけだった。
セクハラ・ポリシーに違反したのが明らかなのに、刑罰があまりにも軽いことへの憤りが同業者の間で広まっていたのだが、一般の人々にまで知られるようになったのは、10月9日のBuzzFeedのスクープ記事だった。
マーシー教授のセクハラは「公然の秘密」だった
BuzzFeedの取材に応じたのは、被害者の女性だけではない。
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