今日から萌えられる!「観る将」のはじめ方—将棋女子座談会 vol.1

ジャニーズ、テニミュ、宝塚、フィギュアスケート……世の中にはさまざまな心ときめくコンテンツがありますが、実は「将棋」に燃えて&萌えている女子たちがいるのをご存知でしょうか? 将棋男子漫画『或るアホウの一生』の1巻発売を記念して、作者のトウテムポールさんをはじめ、「将棋」にハマっている女子たちが座談会を開催!  彼女たちの共通点は、自分で指すのではなく、棋士の観戦を楽しむ「観る将」であること。ルールがわからなくても今日から萌えられる、将棋の魅力を語っていきます。

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「将棋」に燃えて&萌えてます!

— 10月7日に発売された『或るアホウの一生』。1巻は将棋の奨励会に所属している主人公が、プロの壁、三段リーグの難しさに直面するストーリーになっています。「棋士の生き方」萌え漫画である本作の発売を記念して、作者のトウテムポールさんをはじめ、「将棋」にハマっている皆さんにお集まりいただきました。

或るアホウの一生 1 (ビッグコミックス)
或るアホウの一生 1 (ビッグコミックス)

全員 よろしくお願いします!

— まず軽い自己紹介からお願いします。

トウテムポール(以下、ポール) みなさん、はじめまして。『或るアホウの一生』を描いている漫画家のトウテムポールです。棋士の方から感じるいろいろな魅力をマンガで表現できればと思って描いているので、今日は「将棋」萌えのみなさんとお話できて嬉しいです。


あじこ あじこと言います。36歳、子持ち、ジャニオタです。推し棋士は橋本崇載八段です。


—「ジャニオタ」の人から、ジャニーズの担当じゃなくて「推し棋士」を聞くのって新鮮ですね(笑)。橋本先生は、『或るアホウの一生』の棋譜監修をされている方ですね。そして今回の座談会の会場となっている「SHOGI BAR」のオーナーでもあります。

あじこ はい! 今日はそれも楽しみにして伺いました。

— ほかのみなさんも推し棋士が……?

もぐもぐ 私は斎藤慎太郎六段と佐々木勇気五段を推しています! ジャニーズ、女子アイドル、宝塚なども好きです。そういうジャンルだと、まわりに話せる人もいるんですが、将棋萌えという文脈ではなかなか話し相手がいないので、今日はワクワクしてきました!

イシイ いないですよね……。私は33歳、会社員です。普段は漫画や洋画を見るのが好きです。私も約1年前から将棋ファンとして活動を始めたんですが、完全にソロ活動をしています。推している棋士……A級やB級(※)の先生たちや若手も追いかけてはいるんですが、やっぱり一番好きなのは羽生善治四冠(名人・王座・王位・棋聖)ですね。もう好きすぎて、去年は羽生先生の出演されている講演会など、ほとんどの現場に足を運びました。
※A級やB級:プロ棋士にはA級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組の5つのクラスがあり、クラスごとのリーグ戦形式の順位戦が行われる。成績上位の数人が上のクラスに上がり、下位は降級させられ、A級の優勝者が名人への挑戦権を得る。


— 現場!(笑)

イシイ ちょっと気持ち悪いですかね……。

もぐもぐ 羽生先生はあらゆるところに呼ばれているから大変そうですね……。

— みなさん、想像していた以上に濃いメンツの予感がします。これからそのハマりぶりをさらにひもといていきましょう。

将棋への入り口は、実はいろいろなところにある

— そもそも、みなさんが将棋にハマったのは、どういう経緯なんでしょう。

ポール 私の家は、小さなころからじいさんと父親がテレビで将棋を見ていたんですよ。それで2人が「この人たちな、これで金を稼いでるんだぞ!」なんて言っていて(笑)。そういう世界があるんだな~と見てたら、羽生先生が七冠をとって、テレビで出まくるようになったんですよね。そこから興味を持った感じです。

あじこ やっぱり羽生先生の存在は大きいですよね。将棋にそこまで興味がない人でも名前を知っている。

もぐもぐ じゃあポールさんは昔から将棋漫画を描きたいと思っていたんですか?

ポール いえいえ! 考えだしたのは2011年ですね。ヒバナの編集さんに「何か漫画を連載しませんか?」と聞かれたちょうど3日くらい前に、岩手で名人戦が行われて森内俊之九段がいらしたんです。その頃の岩手は震災のダメージがまだ癒えていなかったんですが、被災地を見た森内先生が泣いてくれていたんです。その印象がすごく強かった話をしたら、編集さんが「漫画にしますか!」と。

もぐもぐ そ、そんなざっくりした流れで決まるんですね!?

ポール ざっくりしてますよ~! でも、担当さんが「興味のあることを描いてもらったほうがおもしろい作品ができる」と言ってくださって。それで描くために調べれば調べるほど、将棋のおもしろさを知っていきました。

あじこ 私はNHKの番組「プロフェッショナル」の、羽生先生と森内先生の名人戦密着がきっかけです。

イシイ 2008年に放映されたやつですね。私も、DVDで持ってます。

あじこ 将棋に詳しくなかった私でも、「これは……すごいのでは?」と思いました。羽生先生と森内先生というのは同学年の生まれで、奨励会入りもほぼ同時期。7タイトルを同時に保持する「七冠」という前人未到の領域に達して、将棋界以外からも有名な羽生先生ですが、一方の森内先生も、「名人」というタイトルを5期獲得して、「永世名人」の資格を得たすごい方なんです。2008年の名人戦というのは、そうした2人の因縁の対決で、プロフェッショナルでも、彼らの軌跡がプロ入り前から振り返られていました。まず棋士の人たちって、子どものころからずっと戦い続けてるのが、すごいと思いません?

もぐもぐ 少年漫画の世界!

あじこ そう。お互いがお互いの手を読みあっていて、誰よりもわかりあっているのに、友達ではない……萌えましたね! あとは、そもそも「仕事」としてすごい。まさに「プロフェッショナル」だと思います。

もぐもぐ 私のきっかけは、プロ棋士とコンピュータソフトが戦う団体戦「電王戦」です。IT系の仕事なので、もともとコンピュータとの対局に興味があって。将棋そのものというより、「人間とコンピュータがゲームをする」ことが面白いなというところから関心を持ちました。その前の年からニュースやレポートを読むレベルで追いかけていたのですが、2014年の第3回で豊島将之七段と将棋ソフトYSSの対局のときにニコ生をぼんやり見ていたら、いきなりおやつが出てきて……。

一同 (笑)

もぐもぐ アイドルでもない、私より年下の男性のこんなシーンを放送する業界ってなんなんだ!?と衝撃を受けました。

イシイ 将棋の対局って、タイトル戦などはおやつシーンも見所ですよね……。

もぐもぐ 糖分補給しなきゃいけないんでしょうがないんですけど(笑)。身近に将棋を好きな人がいたのもあって、まずは7つのタイトル戦について学んで、棋士の先生たちの名前を少しずつ覚えて……。将棋ファンの人たちは1聞くと10教えてくれるので何も分からないところから入門していくのもすごく楽しかったです。

イシイ 私もニコ生から入りました。ただ、電王戦じゃなくて、ニコ生でやっていた「棋士人狼」からです。

もぐもぐ え、そんなのあるんですか!?

イシイ え、もぐもぐさん、まだ観てない? それは人生の8割くらい損してるから早く観て!!!

— そんなに(笑)。「人狼」というと、村人のなかにまぎれている人狼を、ときに協力しあったりだしぬいたりして探しだす心理ゲームですよね?

イシイ はい、「棋士人狼」は「人狼」を棋士にプレイしてもらってそれをニコ生で放送するという企画なんですが、棋士のみなさんのキャラクターがとにかくユニークで! とにかく中田功七段、通称コーヤン先生が、論理的な思考で人を追い詰めていく。コーヤン先生、人狼では「捜査一課課長」みたいなあだ名がつけられているんですよ。

ポール そうなんですか。

イシイ その非情な様子を観て、「何この人超絶かっこいい!」と萌えてしまいました。知的で冷徹なキャラクターにすごい弱いもので……。当時はコーヤン先生が三間飛車の使い手なんて全く知らず、純粋にキャラクターから入りました。それから、もともと友達に「将棋を観るのが好き」と言っている子がいて。「観るのが好きってなんだ? 将棋って指すものじゃないの?」と思ってたんですけど……。

あじこ いわゆる「観る将(みるしょう)」ですね!

イシイ なんとなく興味を持って、2014年にニコ生で中継された名人戦を見てみたんです。すごく印象に残ったのが、第三局で、羽生先生が一手指すのに2時間くらい考えていた場面。ひとつのことを、誰にも相談できずに2時間考える世界を初めて見て「なんだこれ?」って。

— たしかに、そんな世界は、ほかのスポーツなどでもなかなかないですよね。

イシイ そこからどんどん転がり落ちるようにハマっていきました。

— なるほど、将棋への入り口って、意外といろいろなところにあるんですね。

指すのではなく観戦するファンの形「観る将」

— 先ほど「観る将」、将棋を指すのではなく、観戦専門で楽しむファンの在り方があると聞きましたが、みなさんはどうなんでしょうか。

ポール ルールは知っているので、親戚と指したり、ゲームでたまにやったりしますね、昔は三十手くらいで負けていたのが、最近は八十手くらいまでもつようになりました(笑)。自宅警備員型のオタクなので、CSの将棋チャンネルとニコ生をつけっぱなしにしている感じです。

もぐもぐ 駒の動かし方はわかる程度で、指せるとは到底言えないので、観る将ですね。基本はネットで観ています。びっくりするくらい、観る将に優しい業界なんです。「興味があります」と言うだけで、過去のいろんなエピソードをしゃべってくれる伝承者たちがいっぱいいる。それから、さかのぼれる資料がめちゃくちゃたくさんある。

あじこ それこそ小学生時代の資料も大量にありますからね(笑)。最近だとタイトル戦ごとに「◯◯戦中継ブログ」というのが立ち上がって、そこに観戦記者の方による実況レポートがものすごい数の写真とともに掲載されるんですよ。

— え、それは無料なんですか?

あじこ 無料です! 観戦記者さんのコメントは、中継ブログ以外でもネットで調べたらいくらでも出てきます。Twitterをやってる方もいますし。

イシイ こんなに追っかけやすいジャンルは他にないですよ……! あじこさんのおっしゃるように、タイトル戦の棋譜や解説も無料で見られるものもあるし、「日本将棋連盟モバイル」「名人戦棋譜速報」といった有料サービスに登録すると、さらにたくさんの対局の棋譜を見られる、という感じです。

ポール 将棋連盟のサイトや、有料アプリも、すごく至れり尽くせりで充実してますよね。毎日チェックすることが多すぎて、仕事が手につかなくなりそうでした……。毎日なにかしら対局があって、棋譜やコメントが掲載されてる。

あじこ あ、ちょうど今日は羽生先生と佐藤天彦八段の五番勝負王座戦がめちゃくちゃ盛り上がってますね(中継サイト)。もちろんおやつの画像も出てきます(笑)。

もぐもぐ おやつ最高……!

次回「アイドルが好きなら今すぐ将棋を観てくださいは、10月29日(木)更新。

構成:青柳美帆子 取材協力:SHOGI BARTwitter


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この連載について

観る将」のススメ

cakes編集部

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コメント

igo_akihide @news24ntv https://t.co/yOMz0Ozvk3 約1年前 replyretweetfavorite

nekohachinyan https://t.co/OKagENReMg 今完全に、これで紹介されている人になってる。めっちゃ斎藤慎太郎検索している・・・ 2年弱前 replyretweetfavorite

dasadasa23 @HxwXBySGapxNV1h https://t.co/WDwbKJXtna とかですね。佐々木勇気先生が見つかったので、竜王戦にでてきたら、前夜祭もりあがるだろうなー。 約2年前 replyretweetfavorite

igotankiran @majime_omma https://t.co/TS0fCdEMbB これのもぐもぐという人 約2年前 replyretweetfavorite