世界の祝福されない子どもたちへ

iPS細胞技術の発展により、近い将来、同性間生殖も可能になるといわれています。ある日、牧村朝子さんのもとに舞い込んだのは、「生まれるかもしれない子どもに会える」というアートプロジェクト「「(im)possible baby」」への参加依頼。先日NHKのドキュメンタリーで放送されたプロジェクトの内容を、牧村さんがつづった日記をもとに、cakesでもお届けしていきます。生まれてくるかもしれない子どもたちとの家族写真の撮影を通して牧村さんが思ったこととは?

2015/06/19

唾液サンプルを運んでくれた運送会社から、70ユーロもの請求書。いったいなんなのかと思って問い合わせたら、「関税です」ということらしい。ひとつ100ドルくらいする唾液採集キットをふたつ運んだせいで、私たちは200ドルもの価値があるぜいたく品を国際的に発送したことにされていたのだ。しょうがないから支払ったのだけれど、なんだか、私たちの唾液が高級品扱いされたみたいでおかしい。

ところで、世の中には精子提供や卵子提供を受けての妊娠・出産をする人たちがいるけれど、こういった精子自体・卵子自体に値段をつけることは倫理的でないとの批判があるらしい。それはそうだろう。「あなた、たった1000ドルの卵子から生まれたの? 私なんて100000ドルよ」なんてことになったらばからしいもの。もちろん、言われる方じゃなくて、言う方が、だけど。それにしても、言われた方だって、いや、言われなくたって、気にしてしまうことがあるかもしれない。たとえば「パパは僕のもとになった精子を1万円で買ったんだ……」って考えたら、なんだか一万円札を見る目が変わってしまう。

ともあれ、9月に会えるはずの私たちのデータ上の子どもには、こう言いたい気分だ。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

emacat_bot 凄い番組でした… 2015/06/19 牧村朝子 https://t.co/bjgfhZrirI “憎しみには憎しみを返したくなってしまう。だから、そういう“ありふれた憎しみ”を通してこそ、私は気づくのだ。自分は、自分を憎む者と同じ、人間なのだと。” 3年以上前 replyretweetfavorite

makimuuuuuu 今夜 #NHKドキュ メンタリーで放映される、長谷川愛さんによるアートプロジェクト「(Im)possible Baby」。妻と私の遺伝子データからたどり、“会えるはずなかった子ども”に会うまでの日々を日記につづっています。こちらから→https://t.co/fDqKjQPgQ4 3年以上前 replyretweetfavorite

haruhakuto ふむ(´・Д・)ふむ 3年以上前 replyretweetfavorite

tazaki_c 合わせてどうぞ。NEXT 未来のために「会えるはずなかった 私の子どもへ」 https://t.co/mGOS6ddE5Q 3年以上前 replyretweetfavorite