​世界一幸せそうに走る高校教師ヤマケンの挑戦

トレイルランナー“ヤマケン”こと山本健一さんは、公立高校で教師を務めながら国内外のレースで結果を残し続けているトップアスリートです。そんなヤマケンさんが挑むのは、170kmもの果てしない距離の山道を24時間かけて夜通し走り続ける世界一過酷な山岳レース。にもかかわらず、ヤマケンさんは「山を走って苦しいと思ったことは一度もない」と言います。同時掲載のインタビューもぜひお読みください。

限界を作らない生き方をしたい

 100マイル。おおよそ170kmの間、山道を走る。そのスケールを想像できるだろうか? 富士山を1周するレースもあれば、モンブランの麓を走るレースもある。それぞれのコースに個性があり、その個性を味わうために一年に一度、旅をしている。

 中でも僕が好きなのは、特に険しいとされているレースだ。走っている30時間もの間に、富士山の頂上から麓までを3往復するくらいの高低差があるような、バーティカルなレースが僕には合っている。

 両手両足を使わなければクリアできないような巨大な岩を登ることもあれば、延々と続く階段を細かくステップを刻みながら降りていくこともある。道は、土地によって異なっていて、自然の地形に合わせて作られている。気持ちのよい稜線、山脈の合間、延々と続くサトウキビ畑、見通せないほど広大なカルデラ渓谷。その地形を味わいながら、少しずつ足を前へと進める。

 雲の下から山を登りだして、夕暮れと共に雲海の上に顔を出し、星空を見ながら稜線を走る。その美しさに見とれながら走っていれば30時間はあっという間に過ぎていく。

 ただし、30時間も走っていれば、睡魔に襲われることもあれば、しばしば幻覚にも誘惑される。睡魔に打ち勝つために、立ったまま眼を閉じて、7秒数えて、また走り出す。ほんの7秒の“睡眠”で、意識を取り戻して走ることができる。

 エイドステーションには野戦病院のようにランナーが倒れ込み、泥だらけの人間たちは自分自身をギリギリのところで試される。

トレイルランニングは全然苦しくないスポーツ

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トレイルランナーヤマケンが170kmの過酷な山道を“笑顔”で走る理由

山本健一

舗装されていない山道など自然の中を走るアウトドアスポーツ「トレイルランニング」。近年日本でも老若男女に幅広く人気が高まっている中で、注目を集めるトレイルランナーがいます。自らの半生を語った『トレイルランナーヤマケンは笑う』の著者であり...もっと読む

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VABOIYOSHIYA 世界一幸せそうに走る高校教師ヤマケンの挑戦 | 4年以上前 replyretweetfavorite