嫌韓化する日本と反日の韓国、韓国の知識人は日本との関係をどうみているのか?

日韓国交正常化50周年を迎えた今年、日本ではいまだに嫌韓本がベストセラーになっています。一方、韓国でも反日が常態化しているとされていますが、実際韓国の知識人たちはどう考えているのでしょうか。そこで、元ヒュンダイ自動車CEOをはじめ大学教授、弁護士協会理事など韓国を代表する人々が、日韓関係の「今」と「未来」を語ったのが『韓国インテリジェンスの憂鬱』(KKベストセラーズ)。その全員のインタビューを行った編著者の率直な思いを届けます。

冷え込みきった日韓関係を切り取る

「韓国は我が国にとって最も重要な隣国」。

日本外務省のホームページには、韓国についてそう書かれています。しかし、日韓首脳会談は2012年5月以来、3年以上も行われていません。李明博前大統領の竹島上陸以来、日韓関係は冷え込む一方であり、日本では嫌韓感情が、韓国では反日感情が過熱しているようにも見えます。互いに建設的な議論をしているのであればまだしも、感情的な対立になってしまっているきらいもあります。

はたして、このままでいいのだろうか。本当に韓国は日本との関係を改善する気はないのか。そんな疑問を、韓国の識者たちにぶつけてみたのがこの書籍の趣旨です。

書籍には、6人の韓国人識者が登場します。日韓関係と一口にいっても、経済、文化、歴史、外交などの分野ごとに、交流や協力、反目や葛藤に濃淡があると考えたからです。感情論ではなく、冷静でロジカルな意見を集められるように、また日本についても詳しい方たちを選んだつもりです。

「反日」感情の裏に隠された事実

韓国には現実として「反日」感情があります。だからといって、反日に凝り固まっているわけでもない。これが実情だと感じました。

元外交官のチョ・セヨン氏は、「韓国の反日感情には両面性が存在している」と表現していました。普段の生活では日本の文化を楽しんでおり、日常の中で反日感情が噴出することはほとんどない。しかし、日本で「竹島の日」が制定された、日本の政治家が「慰安婦は必要だった」と発言したとなれば、デモも起きると話しており、それが真実だと思います。日本を受け入れる一方で、日本を非難する。そんな韓国の人たちをダブルスタンダードと指摘するのは簡単ですが、彼らにとっては、それは矛盾ではなく自然なことなのでしょう。

歴史学者のイ・ゲヒョン教授が「1910年から1945年は韓国自体がない時代。韓国の近代史は日本を抜きに語れません」と話している通り、日本にとっての韓国と、韓国にとっての日本では、そもそもの重要性のウエイトが違うのだと思います。書籍内で詳しく説明したので省きますが、韓国の政権は本質的に親日派が握ってきたという背景も複雑な日本観に影響を与えているのでしょう。韓国にとって日本は、他の外国ほど単純な存在ではないのだと思います。

お互いをそれほど必要としていない、ねじれた関係性

竹島問題で言えば、日本にいると「韓国が声高に独島は我が領土と主張している」と感じると思います。実際に竹島に関するデモもありましたし、大統領が上陸するくらいですから、声高に主張しているのは確かです。一方で、韓国の識者たちは、「独島問題は静観しておくほうが韓国にとってプラス」と考えています。というのも、現在、韓国は竹島を実効支配している立場なので、このまま波風を立てず、現状維持していれば今後も韓国の領土であり続けるからです。第三者的に竹島を眺めてみると、韓国は守る立場で、日本は攻める立場。騒ぐ必要性があるのは、攻める立場のほうでしょう。「韓国が騒ぐから日本も騒ぐ」、「日本が騒ぐから韓国も騒ぐ」といった話ではなく、合理的に考えれば、当たり前の話ですが、言われてみるまで気付きませんでした。

また日韓関係については、日本と同じく、韓国もそれほど日本を必要としているわけではないと感じました。例えば、経済協力。元ヒュンダイ自動車CEOのイ・ゲアン氏の言葉を借りれば、「相互関係というのは、互いに補完的か、代替的な関係でなければ成り立たないのですから、現状のままだとお互いに(経済協力する)メリットは少ない」からです。1960年代に韓国が経済開発計画を行なっていた当時は、「日本は先生、韓国は生徒」という関係だったので、相互に恩恵があったとイ・ゲアン氏は語っています。韓国だけではなく、日本にもメリットがあったと。しかし、現在は韓国が経済成長し、両国の格差は縮小しました。かといって、日本と代替できるほど同等になったわけではない。そうなると、お互いに協力できることは少なくなります。

日本にすれば、韓国市場が今後中国市場のように拡大する見通しもないので、積極的に進出する必要がないですし、韓国にすれば、サムスンやヒュンダイ自動車といったトップ企業が日本で成功できないことがわかった現在、積極的に日本に進出するメリットがないでしょう。

経済だけでなく、安保面でも同じです。日本と韓国が国交正常化した当時、韓国は中国ともロシア(ソ連)とも国交がありませんでした。それから1990年にロシアと、中国とは1992年に国交正常化を果たします。元外交官のチョ・セヨン氏は「日本の影響力が弱まったとも表現できるし、比重という意味で占める部分が少なくなったともいえる」と話していました。

一言で今日の日韓関係には、互いに“協力する理由がない状態”なのだと思います。韓国の識者たちの話を聞けば聞くほど、その現実が見えてきました。

「産みの苦しみの期間」を経れば、新しい関係性が見えてくる

“協力する理由がない状態”である以上、関係改善を望むのであれば、何か日韓にとってメリットとなる新たなアジェンダを作り出す必要があるというのが、韓国識者たちの総合した意見だと思います。

「日本企業の中国市場参入を韓国企業が協力して実現する」「北東アジアの平和と安定のために朝鮮半島の統一のために協力する」「東アジアで表面化するであろう米中の対立を韓日が緩和させる」など、新しいアジェンダに対しての意見は人それぞれですが、何か共通の協議事項を模索すべきという主張は共通しています。現在の日韓関係を、「産みの苦しみの期間」と表現する識者もいました。

日本と韓国が隣国同士であるという事実が変わらない以上、緊張関係であり続けることは両国にとってマイナスだと思います。最低でもプラスマイナスゼロの関係になるべき。そのためのアジェンダは何か。それを互いに模索していくということが、彼らが示す日韓が進むべき道だと思います。

韓国の識者による本音、考え方を知る貴重な1冊

韓国インテリジェンスの憂鬱

オ・スンホ
ベストセラーズ
2015-05-26

この連載について

韓国インテリジェンスの憂鬱

オ・スンホ

日韓国交正常化50周年を迎えた今年。世間を騒がしていた連日の偏向報道は落ち着いたが、関係改善への前向きな空気は生まれていない。日本人は、本当にこのままでよいのか。また韓国は、実際どう日本を眺めているのか。 元ヒュンダイ自動車CEOを...もっと読む

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コメント

hwkfldfrtn “新しいアジェンダに対しての意見は人それぞれですが、何か共通の協議事項を模索すべきという主張は共通しています。現在の日韓関係を、「産みの苦しみの期間」と表現する識者もいました。” https://t.co/NsY05Gtqg4 4年以上前 replyretweetfavorite

shun_ishr |韓国インテリジェンスの憂鬱|オ・スンホ|cakes(ケイクス) https://t.co/kq6aZbNck9 単に「日韓協力を」とだけ語っても進歩を見ることはできないのかな と感じた 4年以上前 replyretweetfavorite

OsamubinLaden 韓国が反日なのは仕方ないよ。親日だったら独立国家になる必要なかったんだもの  4年以上前 replyretweetfavorite

Da_pne 日韓関係の改善で日本に生じるメリットはあるのだろうか 4年以上前 replyretweetfavorite