見積もりを重要視すれば18時に帰宅できる
加藤貞顕(以下、加藤) ECサイトの運営にコンテンツ制作、リトルプレス、SNSでの展開、ジャム作りなどなど、これだけいろいろなことをやっていたら、クラシコムはさぞハードワークな会社だと思ってしまいがちですが、実は社員の帰社時間が早いそうですね。
青木耕平(以下、青木) 18時までに全員帰ることになっています。
加藤 朝は何時始業ですか?
青木 9時からですね。
加藤 社内の雰囲気を見ても鬼気迫る感じではありませんが、どうしてそんなことが可能なのでしょう?
青木 とにかく、やらなくていいことを徹底してやっていません。たぶん、ほとんどの仕事で、コミュニケーションロスで何度もやり直しが発生したり、無駄な待ち時間があったりすると思います。ウチはまず発注元と制作が同じ社内ですからコミュニケーションロスがありませんし、みんな何かを兼任しているので隙間の時間に必ず何かやることがあります。隙間でボーッとする時間がないので、社員に聞いてみると「超大変」だと言いますね(笑)。
加藤 仕事の密度が濃いんですね。ほかにはどのような取り組みがありますか?
青木 見積もりをすごく重要視しています。たとえば、「この案件やってほしいけど、どれくらいでできる?」という問いかけに対する返答や、上司が部下に対して「この仕事を、これぐらいの工数と期間でやりなさい」という指示が不確かだと、社内の生産性を奪ってしまいます。
期間を短く見積もりすぎて、それを元に他が全部が動いているのに期日通りできあがらないのは良くありませんし、甘く見積もりすぎて手が空いてしまう人が出るのも良くありません。マネージャーがグリップできていないことが一番問題です。ウチの社内では、失敗はあまり責められませんが、見積もりの精度が甘いとかなり詰められます。
加藤 ただ、コンテンツに関しては「いいモノを作るには時間がかかるから、見積もりができない」という言い方もあると思います。一方、クラシコムでは正確に見積もった上で、しかもいいコンテンツを生み出している。それはどうやってクリアしているのでしょう?