車にひかれて死にたかったんです
——マッキンゼー入社後、順風満帆な仕事ぶりに見えた石井さんですが(前回参照)、その後のプロジェクトで何があったんでしょう?
石井てる美(以下、石井) 私が入社した2008年の夏以降、リーマンショックの影響でクライアントプロジェクトが減ってしまったんです。それで、コンサルタントとしての自分の実績や評価には直接つながらない、社内の調査プロジェクトに夏からアサインされました。
クライアントプロジェクト自体が減ってるとはいえ、常にフルで走ってなきゃいけない雰囲気の中で、小休止みたいな作業が続くから、すごく不安になるんです。その後、そのプロジェクトから先輩が抜けて私一人だけになって、ほとんどやることもなくて。でも上司になんだかんだと引き伸ばされて、年明けまでほぼ何もしない状態が続いたんです。
——バリバリ働きたい時期に、それはつらいですね。
石井 上司には何度も相談していたんですが、聞き入れてもらえませんでした。人事担当者には「社内プロジェクトにさえ入れない人がいるのに、あなただけ別のクライアントプロジェクトに入れるわけにはいかない」と言われて。
年末の忘年会で、私たち新入社員はマイケル・ジャクソンの「スリラー」を演じる余興をしたんです。私がマイケルの恰好をして、みんながゾンビ役になって。それで次の日から社内で「マイケル!」って呼ばれて一躍有名になったんですけど、相変わらずどのプロジェクトからもぜんぜん声がかかりませんでした(笑)。
——その辺はやはりみなさん、割り切っているんですね(笑)。
石井 年明けにやっとそのプロジェクトから抜けることができて、別のクライアントプロジェクトにアサインされたんです。一所懸命がんばろうと思ったんですけど、今度は上司の仕事の進め方や考え方がどうしても合わなくて、すっかりまいってしまって。毎日憂鬱で死にたくて、朝起きるたびに「出勤途中の私を車がひいてくれないかな」と本気で考えるようになったんです。
——そんなに思いつめたんですか。
石井 思いつめちゃいましたね。今から思えば、プロジェクトを抜ける方法はいくらでもあったのに、私は何もせずひたすら耐えていました。
——どうしてですか?