まじめにがんばって、東大へ
——石井さんがマッキンゼーを辞めて入ったお笑いタレント養成所のワタナベコメディスクールでは、『もしドラ』の著者の岩崎夏海さんも講師を務めていますね。
石井てる美(以下、石井) そうです、そうです。岩崎先生はネタそのものにはあまり口出しをされないんですが、「君は坊主にしたほうがいい」とか、服装やルックスにダメ出ししたり、映画の話をしたり、少々変わった教え方をされていました。私はそれがおもしろくて、個人的にもいろいろお話させていただいていましたね。
——芸人さんにも今いろいろな経歴の方がいますが、石井さんは東大からマッキンゼー入社、そして芸人へと転身された異色の経歴が話題です。
石井 いえ、売れてもないのに経歴ばかり注目されて、ちょっと恥ずかしいんです…。
——すみません。cakesのインタビューでも、やはりそこから伺いたいと思います(笑)。就職とか、キャリアとか、仕事について、いますごくみんなが関心を持っていると思うので。
昔から勉強はお好きだったんですか?
石井 小学生のころはぜんぜんできなかったんです。でも母がいわゆる教育ママで、中学受験の時に桜蔭学園とかを受けさせられて。
——おお、超難関校ですね。
石井 でも、ぜんぜんがんばっていなかったから、やっぱり落ちるわけです。その時、帰りの電車の中で母が泣いている横顔を見てしまって。子ども心にショックでしたね。なんとか受かった白百合学園に入学してからは、まじめにがんばるようになりました。
——お母さんの期待に応えようと?
石井 というよりは、まじめにやったらちゃんとできるようになったので、それで勉強がおもしろくなって。そこから中、高、大とすごくよく勉強していました。小学校の塾の先生たちからしたら「なんであいつが東大に!?」だと思います。でもそうやって、がんばってがんばって、努力で押し通していたおかげで、社会に出てから痛い目を見るんですけどね…。
——そうだったんですか…。じゃあ、痛い目のお話は後でくわしくお伺いするとして、まず、どうして東大工学部に進学されたんですか?