僕の勘だと、タイトルを『火花』に変えれば売れる 第3回

日本一「ふざけた」会社、バーグハンバーグバーグの社長・シモダテツヤさんインタビューはいよいよ佳境に。初めての単著『日本一「ふざけた」会社のギリギリセーフな仕事術』を売るために、担当編集者との会議が始まります。出版業界にかぎらず全人類不必読の販売戦略をつまびらかにします。

聞き手 吉岡宏(中央公論新社 特別編集部)

担当 さて、あらためてこの本。アマゾンなんかでは高評価ですし、僕もいい内容だと思うんです。ちぢこまった企画にならないよう『威嚇からはじめよう』とか、あえて正直に徹してパワーを持たせる『正直メソッド』とか。特にクリエイティブな仕事にかかわっている方なら必見です。著者の立場からおすすめしたいポイントはありますか?

シモダテツヤ(以下、シモダ) おすすめポイントですか。思い浮かばないなあ。そもそも読んでないんで。一回しか。

担当 一回だけ?

シモダ だって執筆の時点で散々読みましたから。飽きますよ。感想も、あえて言うなら『読んだことあるわ』ですかね。

担当 ほら、見てください。いいこと書いてますよ。まさに今っぽい話題ですが、『パクリとパロディの違い』とかは秀逸です。ちょっと引用してみましょう。

一方、ネット業界で蔓延している表現として「パクリ」があります。パクリはパロディーと似て、しかし全く非なる表現です。まず先に言っておきたいのですが僕はパクリ表現、もしくはパクる奴が大嫌いです。基本的には、パクリも他の人が作った表現を活用することを指しますが、パクリ作品は、そもそもの出所(本家)を分からなくして(隠して)しまうことが、パロディーとの大きな違いです。そこに、元の表現者に対する愛情はありません。ただの才能の横取りです。

シモダ 最近、自分が作ったクリエイティブと似たものを、知り合いが作っていたことがあって。それにすごく怒ったんですよね。この本にも書いたけど、知らなくてカブるのはOKだと思う。でもどこかで知っていて、憶えていて、カブるものを作るのはアウトなんですよ。これは絶対。

担当 ……シモダさん、意外と怒ると怖いんですよね。特にイメージと違うかもしれないけれど、非常識な行動をとる人とか、すごく嫌うじゃないですか。

シモダ そうですね。常識はずれな人が嫌いなんです。社会常識とかルールを守らない人、大っ嫌い。でも、常識はずれな人からやたらと絡まれる。ぼくのこと仲間だ、常識はずれだ、と思い込んでるんでしょうね。

担当 むしろ、めちゃくちゃ常識人ですよね。

シモダ 警察官に育てられた消防士の親父と専業主婦の母親から生まれて、とても厳格に育てられてますから。オモコロに書いてもらっているライターさんも根っこは常識人ばかり。常識が分かっていないと、“普通”とのギャップや落差も分からない。それじゃ面白いものなんて出来ないと思う。

担当 そういった考え方は『ギャップからインパクトが生まれる』として、本にも書いていただきました。

シモダ 勝手な思い込みや妄想をかたちに落とし込んでも、ほかの人に説明できないんですよ。一方通行な表現だと、ただの観察する対象になってしまう。共有されない。

担当 なのに、『自分、超面白いので、卒業したらバーグにいれてください』とか『今日、会社に押しかけてもいいですか』とか、そんなメールやツイッターが山ほど届く。

シモダ そんなに想ってもらえてありがたくもあるんですが、バーグは100%縁故採用なんでどうしようもないんです。嫌なんです、知らない人と机並べるの。新卒採用も過去に一人だけいますが、それだって、もともと知り合い。そもそも経営者からみれば、採用ってバクチなんです。いったん入社させちゃうと、労働基準法に守られるし、一方的に辞めさせられない。とても腹立たしい。

担当 ……でもバーグの社員さん、驚くくらいしっかりとされているんですよね。会社へうかがうと、『こんにちは!』と満面の笑みでご挨拶される。印象としては、会社でお酒を飲んでたり、奇行に走っていたりとカオスな会社だと思われていそうなのに。

シモダ クリエイティブがふざけている分、そういうところまでふざけるのはNGだと考えているんです。

担当 ある意味で、これからの会社の、一つの理想的なカタチなんだと思うんですよね。バーグさんって。

シモダ 縁故採用システムが。

担当 うん、縁故採用が、って違う! 能力とか特性とかあらかじめ知りえた人たちで集まり、課題解決に適したチームをつくる、ということ。二章の仕事論で書いてもらった『振りきれた会社の作り方』。そこでの創業エピソードなんて、感動すら覚えました。

ただし、いきなり全員で起業するのはお金の問題もあって現実的に難しい。最初に雇えるのは1人か多くて2人。今日集まってくれたほとんどが最初のメンバーに入れないけど、それでも全員が揃うまで僕に付いてきてくれる覚悟があるのなら、来週もここに来てください」ということもその場でお願いしました。

正直、趣味でやっていたような、お馬鹿サイトの会社化に、どれだけの人数が付いてきてくれるのか、心の中では不安でした。成功する確証なんてないし、ましてや「ふざけた会社を作る」なんて、ホームレス予備軍に手を挙げる行為と何ら変わりません。

ところが翌週になってそのファミレスに行ってみると、なんと前回集まってくれた6名全員が揃っていたのです。あのときの「ああ、やっぱり人生設計バカなんだこいつら」という感動を僕はたぶん一生忘れないと思います(認知症になったら忘れます)。

これからどこへ向かうんでしょうかね? みなさんは。

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僕が出版して得たもの、そして失ったもの。

シモダテツヤ

日本一「ふざけた」会社と呼ばれるプロモーション会社、バーグハンバーグバーグ。営業無し、ふざけられない仕事は受けない方針でも依頼殺到。その社長、シモダ氏が振り切れた企画術・仕事術を初公開したのが『日本一ふざけた会社の「ギリギリセーフ」な...もっと読む

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コメント

kokoroyo_i @07072p 社長さんとコネ作る以外なさそうですね。それも難易度高すぎますが笑 「100%縁故採用」って答えてるインタビューがありましたよ https://t.co/bScHQR1BXk 約3年前 replyretweetfavorite

kabothomas 「常識が分かっていないと、“普通”とのギャップや落差も分からない。それじゃ面白いものは作れない」 約4年前 replyretweetfavorite

BHB_official Cakesインタビュー第3回は弊社の採用方針や企画のパクリについて話しました。タイトルのままですが、本が売れるコツもお話しています。 約4年前 replyretweetfavorite

masaki_kashiwa  バーグハンバーグバーグさんがもっと好きになった。今目指してる業界でどうにも食っていけなくなったら採ってください。縁故はなんとか作ります。 約4年前 replyretweetfavorite