日本の存在感は、今、世界で薄くなりつつある。
栂野眞二さん(以下、栂野): 塩谷さんは目的を持って、世界中を旅して歩いていますよね。大震災の後、塩谷さんはネパールに行かれてます。どうでした?
僕の本の重要な舞台のひとつにもなっているんだけど、ネパールのパタンという街で暮らしていたんですよ。ちょうどネパールの民主化革命のときで、大変でした。
塩谷瞬さん(以下、塩谷): 僕は震災後の6月にカトマンズから入って、バクタプールに行って、その他にも被害のひどかったところをいくつか回って、それからパタンにも行きました。
栂野: あ、パタンにも行きましたか。どんな様子でしたか?
塩谷: パタンの被害も大変でした。でも日本とちょっと似ていて、暴動も起きず、みんなで支え合っている感じが印象的でした。ネパールの人達って本当にすごくいい人達ですよね。
栂野: ネパールの人は、ちょっと信じられないくらい、本当に親切な人達ですね。ただ、パタンの友人から僕のところに来たメールだと、震災後に、略奪ではないかもしれれないけど、住めなくなっている家から物が盗られたりしているということでした。大変なことがあって追い詰められれば、人はそうなっちゃうんだなあと思いました。
塩谷: 災害があった直後、今が大切なんですよ。東日本大震災後の東北でもそうでした。日本でもあまり知られていないですが、組織立った強盗団がナイフとか持って被災地に押しかけて、金目のものや金庫を盗っていってしまったりということがあったんです。
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