家族無計画

狙ったように私にだけ小バエが寄ってくる

人間誰しも、生きるうえで、「他の人と異なる特別な自分」へのあこがれを持っているもの。「ソーシャル主婦」として個性的に活躍されている家入明子さんも、「自分にだけ小バエが寄ってくる」「自分はいつかマイケル・ジャクソンに見初められる」といった思いをいだいた経験があるそうです。もっとも手軽にその特別意識を満たしてくれる行為であった「結婚」の特別感が薄れてきた今、私たちは生きるための支えを何に見い出せばいいのでしょうか?

どうやらいつも、狙ったように私にだけ小バエが寄ってくる。

……あるときふとそう思ったけれど、すぐに、いやいや、と否定して自分を戒めた。「私にだけ」って、さも選ばれたかのように思うなんて。元をたどればこの気持ち、自分はいつかマイケルに見初められると、彼の生前、祈るように信じていたのと同じおこがましさに端を発している(一時期私はマイケルジャクソンにどハマりしていたのだ)。そうに決まっているのだ。

たとえば「私がサッカーの試合を見ると絶対負けるんだよね」とか「私、雨女なんだよね」とか。実際にその言葉の通りに自分が特殊能力を持っていて、それによって他人の運命や天候、虫の居所(文字通りの意味で)までを左右できる人間であったとしたら、途端に人生劇場のヒロインとしての気概がムクムクと湧いてくる。だからこそ、有り得ないとわかっていても望んでしまう。

他の人が持ち得ない特別な物語へと続く扉が、私の前にだけ現れてほしいのだ。

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強く愉しく新しい“家族論”エッセイ、ついに書籍化!

家族無計画

紫原 明子
朝日出版社
2016-06-10

この連載について

初回を読む
家族無計画

紫原明子

「日本一炎上しがちな夫」こと、起業家の家入一真さんと結婚した家入明子さん。現在「ソーシャル主婦」として、家入家独特の育児の話や、夫婦間のデリケートな話題に切り込む記事をブログで発信し、話題となっています。そんな明子さんが、ブログよりも...もっと読む

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コメント

_daisylily "今後、結婚にさらなる多様性が認められていく中で、従来の結婚は自ずとモンドセレクション最高金賞受賞と同じくらい形骸化していくのだろうし、それでいいと私は思う。" 約2年前 replyretweetfavorite

_daisylily "それでもこんな風に他人の人生に巻き込まれ、他人の人生を巻き込んでいけば、少なくとも小さな人生劇場のヒロインとして、最後まで胸を張って舞台に立ち続けていけるような気がしている。" http://t.co/jqoJrYBa1P 約2年前 replyretweetfavorite

yoshirei0702 すごくわかる! このエッセイ自体が、欲していたキャッチボールのボールのひとつだとおもう。 約2年前 replyretweetfavorite

f_fukusuke “形式や画一的な価値観が力を失っていく中で、無数の選択肢の中から、自分の価値を実感させてくれるものを、自分で選び取っていかなきゃいけない” みんなこれで悩んでるんよね 約2年前 replyretweetfavorite