「ちょうど夕食時だったのでいかがなものなのか」
1年ほど前に鉄道好きのタレントと、鉄道オタクの煩わしさについて話す機会があった。駅のホームで黄色い線の外側に足を踏み入れてポーズをとっている写真について、「危ないだろ」「ルールを守れ」とクレームが相次いだのだという。電車が来ていたわけではない。このように、すっかり度が過ぎたクレーム社会になったが、その中にあっても「この番組ならば何にも言われないだろう」と許されてきた番組のひとつが『ザ!鉄腕!DASH!!』に違いないと思ったら、東京新聞のTV投書欄「反響」(9月20日)は素通りしてくれない。
「DASH島で漂流物を拾い、1つ1つ『くっせえ』などと大声で叫んでいた。ちょうど夕食時だったのでいかがなものなのかと思った」との内容。「他のチャンネルにすれば?」という真っ当な意見は通じない。「いつなんどきも正しくなければならない」という視聴者のパトロールから逃れながら、自分の思っていることを素直に投じるのが難しくなった。『あさイチ』の井ノ原快彦&有働由美子は、窮屈な正論を振り払う素直な言動が受けているわけだが、知らないことを知らないと一致団結して言える強みがあるからなのだろう。これまで朝っぱらから、みのもんたやテリー伊藤や小倉智昭が単体で発散させてきた、「僕は知っている。だから言う。」という自信満々に、私たちはもう、疲れてしまったのだ。
集合写真で後ろのままだった井ノ原と国分
井ノ原は、肩の力を抜いて仕事をしていてもいいと教えてくれたのが国分太一だと指摘する。ジャニーズの野球大会の集合写真、先輩になればなるほど前に行けるものだと思っていたのに、「俺と太一君は後ろのまま」だった。国分は「ドラマでも主役を張る人達が最前列に来て、そこを目指す事が当たり前だったと思うのね。最前列以外は意味がないという時代もあっただろうし。でも僕とイノッチはそうじゃないじゃん。(中略)後ろで肩組んで満面の笑み、みたいな(笑)」(国分太一『タヒチ タイッチのリゾート気分で』内の対談)と語る。
今現在、朝のワイドショーは、その「集合写真の後ろの人たち」がセンターを陣取っている。今のところ、二人の差は歴然としている。自分の私見を自由に並べる井ノ原にはハラハラしないが、国分はハラハラするほど何も知らない。隣り合う真矢みきも何も知らないから、周囲が諸々説明し終えた後に「えっ、それって○○なんですか?」と差し戻す発議をしてしまい、周囲が失礼のない程度にぶった切る。「知ったかぶりしない」井ノ原と、「知らない」国分、そこには大きな差があるが、これまでの「僕は知っている。だから言う。」を押し付けられないという安堵では一致するのだろう。
やっぱり、あのaikoファンに聞いてみる
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