闇の左手』異星の「性」のお話です

SFマガジン史上初のカバーガールとして衝撃のデビューを果たしたアイドル・ライターの西田藍が、海外SFの定番を改めて読み直し、その内容や感想を思うままに語る本誌連載のcakes版。今回ご紹介するのは《ゲド戦記》シリーズでも知られるアメリカの女性SF作家、アーシュラ・K・ル・グィンの『闇の左手』です。作品の舞台、〈冬〉と呼ばれる惑星に形成された、両性具有者の社会とは……?

はじめてのル・グィンは《ゲド戦記》。 元々、ファンタジーをよく読む子どもだったので、ごく自然に図書室で手にとった。図書の先生は、「暗いから、ちょっと(苦手)」と言っていた。シリーズ内のフェミニズムの色濃い描写は、私の心を掴んだ。といっても、それは、残酷物語の刺激が魅力的だったから。まだ、彼女らの不幸と私の(いままでと、これから起こりうる)不幸に対応するとは思ってもみなかった。

なにもしなくても自分の体は誰かを誘惑する恐ろしくわいせつなものだから適切に管理せよ、と言われ続ける不自由さとか、男に追い掛け回されたり、卑猥な言葉を掛けられたり、殴られたりする少女時代のことは、「仕方ない、そういうものだ」で済されることとか。成人して水着のイメージDVDを出したら、精液で汚されていますよと忠告されるとか(意味不明すぎ!)。自分の体の管理に失敗したら犯され火を付けられる悲劇は寓話ではなく実在している。悲しいかな、私も残酷物語を彩る哀れな女の一員であった。

そのあと、『言の葉の樹』を読んだくらい。後に知ったが、世界観はこの作品と共通だ。“ハイニッシュ・ユニバース”と呼ばれる未来の世界。


『闇の左手』(The Left Hand of Darkness, 1969)
アーシュラ・K・ル・グィン/小尾芙佐訳/邦訳1972年刊

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にゅうもん! 西田藍の海外SF再入門

西田藍

2014年10月号のSFマガジン(売切御礼)において史上初のカバーガールとして衝撃のデビューを果たしたアイドル西田藍が、海外SFの定番を改めて読み直し、その内容を思うままに語る本誌連載がcakesにも登場です。紹介されるのは、幾星霜も...もっと読む

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コメント

100Takanashi 月額でしか読めない有料記事なんでアレだけどこの解説好き。 https://t.co/auVIOZ85XO 約2年前 replyretweetfavorite

yuzuliha_ #西田藍 さんの『闇の左手』評はこちら。(有料記事ですが、1週間無料でお試しできます) 男性諸氏は読んで感想をつぶやいてみては? 西田さんが読んでくれるかも? 何れにせよ 2年以上前 replyretweetfavorite

oono_n “あの残酷物語は性ゆえか、あの社会的な枠組みは、雌雄から離れられない地球人のさが、なのか” 4年以上前 replyretweetfavorite

gin_and_tanic この記事を読んで興味をそそられ、何を血迷ったか洋書の方を買ってしまった。/|西田藍の海外SF再入門 https://t.co/B1goEyf27J https://t.co/ItEshxqT8D 4年以上前 replyretweetfavorite