渡辺由佳里
結婚とは「冒険」である
異なる文化同士の人間が結婚する「国際結婚」。文化の違いゆえのシビアな現実があるいっぽうで、「異文化」という圧倒的な差異がときにはプラスに働くこともあり……。ご自分も国際結婚している渡辺由佳里さんが「国際結婚の利点」を語ります。
結婚の醍醐味は価値観の転換
以前、「好き」だけではやっていけない国際結婚のシビアさについて語った。国際結婚の場合は、言語、文化、習慣の違いがあるので、同じ国で生まれ育った人と結婚するよりも理解しあうための努力が必要だ。そのうえ、異国で暮らすことになったら、その国の法に従う必要もある。トラブルが起きたときに助けてくれる家族や友人が周囲にいないのも心細いものだ。
だが、そういった国際結婚の難点は、見方を変えるだけで次のような利点に変わるのだ。
・どちらも、相手に「こんなことは言わなくてもわかるだろう」という期待を抱かない。だからかえってコミュニケーションを取り、理解し合えるようになる。
・異文化で育った伴侶の意外な言動に苛立つよりも、新鮮さを感じ、興味を抱ける。
・頼れる親きょうだい、昔からの友人が近くにいないので、伴侶を頼りになる親友として扱うようになる。
もっとも、これは日本人同士の結婚にもいえることだ。異なる環境で育った二人がひとつの家庭を作っていくという点では、日本人同士の結婚も国際結婚と同じなのだ。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
人気の連載
-
牧村朝子
-
May_Roma
-
フェルディナント・ヤマグチ
10912
false
この連載が本になりました! 仕事、お金、恋愛、結婚、子育て、人間関係…アメリカ生活30年の著者が獲得した 「後悔しない生き方」のコツ。
この連載について
渡辺由佳里
「アメリカンドリーム」という言葉、最近聞かなくなったと感じる人も多いのではないでしょうか。本連載では、アメリカ在住で幅広い分野で活動されている渡辺由佳里さんが、そんなアメリカンドリームが現在どんなかたちで実現しているのか、を始めとした...もっと読む
著者プロフィール
エッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家。助産師、日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、1995年よりアメリカ在住。
ニューズウィーク日本版に「ベストセラーからアメリカを読む」、ほかにFINDERSなどでアメリカの文化や政治経済に関するエッセイを長期にわたり連載している。また自身でブログ「洋書ファンクラブ」を主幹。年間200冊以上読破する洋書の中からこれはというものを読者に向けて発信し、多くの出版関係者が選書の参考にするほど高い評価を得ている。
2001年に小説『ノーティアーズ』(新潮社)で小説新潮長篇新人賞受賞。著書に『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(亜紀書房)、『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社)などがある。翻訳には、レベッカ・ソルニット『それを、真の名で呼ぶならば』(岩波書店)、糸井重里氏監修の『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社、日経ビジネス人文庫)、マリア・V スナイダー『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)、がある。