第四回 挑発し続ける暗黒通信団!『国会図書館にしかない本』など

2014年に刊行した『ベスト珍書』。世の中にある珍書を選び抜いたその本から、さらに担当編集者がチョイスしたヤバイ本をご紹介します。今回は『円周率1000000桁表』や『童貞が教える妹と風呂に入る方法』など、同考えても”珍書”な内容ばかり刊行し続ける暗黒通信団の本から2冊。世にも類まれなる珍書、さあ、あなたは読んでから人生を終えますか、それとも読まずに終えますか?

端数調整用の目的で制作されたが、出版に対する鋭い論考も
『暗黒的出版論―あるいはネット書店で1500円に満たない時に端数調整するための本』
(シンキロウ/暗黒通信団/2009年)

 本著で何作も紹介している暗黒通信団だが、この本のコンセプトは奇天烈極まりない。かつてアマゾンは1500円以上購入すると送料が無料になっていたのだが、あとほんの少しだけその額に及ばない時のため、つまり端数調整するだけのために作られた本なのだ。元々は30円という定価を設定していたらしいが、そうすると流通上全く利益が出ず、取り扱いを拒否されたので、仕方なく100円にしたとのこと。

 コンセプト自体は人をあざ笑うかのような愉快犯的なものなのだが、本文で書かれている出版に関する著者の考えは意外とまともで、編集者としても大いに共感する内容だ。たとえば「今はネットでありとあらゆる情報がただで見られるから、人は本をわざわざ買わない」と言われるが、それに対して著者は異議を唱える。ネットではある主張や内容に対して、その信憑性を担保させるためにソース、つまり出典を要求されることがある。これが実は単にまた別のサイトから転記しただけの孫引きであることが多い。そうすると信用されない。また学術論文などでも数々の先行研究を引用例として明記しなければいけないが、インターネットにあるホームページのURLを載せるのは説得力に欠け、まだそうした慣習も定着してはいない。最終的に情報の確実性を保証するには、紙で印刷された出版媒体を出典として明記しないと信用されないのである。本には最後の砦としての信頼性があるわけで、そうした出版社が自らの信用性を損ねるトンデモ本を刊行することに厳しい目を向けている。

 また「オブジェとしての本」という論考があり、本を読みものではなく、本棚に飾っておき、友人が自宅に訪れた時に「オレこんなヘンな本を持ってるんだぜ」と自慢するためのアイテムとして捉え直すことを提言している。実はこれは私も日頃から感じていることで、

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ベスト珍書』自体が珍書なこれだけの理由

ハマザキカク

2014年に刊行した『ベスト珍書』。世にある珍書を選び抜いたその本から、今回、担当編集者がチョイスしたヤバイ本を抜粋にてご紹介。最終回にはおそらくハマザ氏(ちなみにハマザ・キカク氏)と編集者しか知らない同書の秘密を2つ、初公開します。...もっと読む

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コメント

wackunnpapa @stultum こんな記事が> |『ベスト珍書』自体が珍書なこれだけの理由|ハマザキカク|cakes(ケイクス) https://t.co/GBFtwVkP4l 2年弱前 replyretweetfavorite

Ada_bana 挑発し続ける暗黒通信団!『国会図書館にしかない本』など|ハマザキカク @hamazakikaku https://t.co/wM4fj17Qdv 3年弱前 replyretweetfavorite

ankokudan さすが3月14日で吊し上げてくださる方です、内情をよくご存知で。 3年弱前 replyretweetfavorite

consaba 挑発し続ける暗黒通信団!『国会図書館にしかない本』など|ハマザキカク(構成:中央公論新社 特別編集部 吉岡宏) 『 ベスト珍書』自体が珍書なこれだけの理由 3年弱前 replyretweetfavorite