第二回 ニッチの向こうの芳醇な世界! 『背脂番付』など珍書2冊!

世の中にある珍書を選び抜いた本『ベスト珍書』、その中からさらに担当編集者がチョイスしたヤバイ本をご紹介します! 今回はニッチすぎた結果……やっぱり”珍”として読めちゃう2冊です。さあ、世にも類まれなる珍書、あなたは読んでから人生を終えますか、それとも読まずに終えますか?

ラーメンの背脂だけに着目した究極のニッチグルメ本
『デウスエクスマキな食堂 13年夏号 背脂番付』
(刈部山本/密林社/2013年)

『デウスエクスマキな食堂』という同人誌を知っているだろうか? 元々場末の古びた食堂をレポートしたZ級グルメ誌なのだが、近年取り上げるテーマは更なる究極の領域を開拓している。この号ではラーメンの「背脂」だけに着目して相撲のように番付にした。冒頭で「味の評価に非ず」とわざわざ宣言している。取り上げられているのは東京近郊のラーメン屋39店舗。好みを応じてくれる店では全て「脂多め」で注文したようだ。

 戦後の食料事情が悪い中、日本そばより脂肪分が多くハイカロリーな、表面のラードがぎらぎらした脂っこさを売りにしたのが、後に豚骨醤油ラーメンの発祥とされるホープ軒の創業者が始めた屋台だった。そこから土佐っ子、香月、弁慶といった人気店に派生していったらしい。著者はサッパリ型醤油味の東京ラーメンを年配の懐古趣味として、バッサリ切り捨てている。確かに載っているラーメンの写真は、いずれも背脂が表面を覆っており、火をつけたら燃えそうな勢いである。

 私には「背脂」だけにフォーカスしたこの特集号が最も奇抜な切り口に思えたが、他にもこのシリーズでは温泉やスパなどに併設された飲み屋だけを扱った『ふろ式・酒場の叙景』、公営の競馬場や競輪場の『ギャンブルイーター』、『機動警察パトレイバー』に出てくる食堂だけを歴訪した『パトめし!』など類例を見ない切り口のグルメレポートをたくさん出している。

 元々は台東区など東京の下町のグルメをレポートするブログから始まったようで、最初はいわゆるB級食堂案内などそれほど変わった感じはしないが、徐々に昭和レトロ遺産的な雰囲気を放つ店、そして廃墟や辺境といった要素が強くなり、今のギャンブル食堂やら背脂やら究極のジャンクに行き着いたようだ。こうなったら炊き出しグルメにも挑戦してもらいたいところ。なお、この『背脂番付』、カバーの真ん中には「セアブラキング」とあり、下に「KING OF SEABURA ! !」と記されている。「『背アブランキング』とすれば良かったのに」とツイッターで呟いたところ、「最初はその書名で行くつもりだった」と言われた。


子どもを夢中にする改造車の数々
『のりもの写真えほん12 ゆかいな幼稚園バス大集合!』
成美堂出版編集部/成美堂出版 /2010年

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ベスト珍書』自体が珍書なこれだけの理由

ハマザキカク

2014年に刊行した『ベスト珍書』。世にある珍書を選び抜いたその本から、今回、担当編集者がチョイスしたヤバイ本を抜粋にてご紹介。最終回にはおそらくハマザ氏(ちなみにハマザ・キカク氏)と編集者しか知らない同書の秘密を2つ、初公開します。...もっと読む

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コメント

kekkojin 冬コミで、最近常連になった読者から“狂ってる”と最高の褒め言葉を頂いた『背脂番付』を紹介いただいた本『ベスト珍書』の記事。 3年弱前 replyretweetfavorite

consaba ニッチの向こうの芳醇な世界! 『背脂番付』など珍書2冊!|ハマザキカク 『ベスト珍書』自体が珍書なこれだけの理由  3年弱前 replyretweetfavorite