旧暦にもうけられた雑節のなかに、「二百十日」「二百二十日」があります。立春から数えて210日目と220日目をさすのですが、この日は台風が襲来しやすいと、昔から警戒されてきました。いまの暦にすると、今年は二百十日が9月1日、二百二十日は9月11日です。
この時季は、ちょうど稲の花が咲き、米が実るころ。暴風で花が散ったり、稲穂が倒れたりすると、その年の収穫に大きく影響します。昔の人々はこの日に嵐がきやすいことを経験上知っていて、用心したのです。海へ漁に出る人たちにとっても、嵐の発生しやすい日を知っておくことは、命を守るために大事でした。
日本には、農作物が風の被害にあわないよう、神様に祈る祭りが各地に残っています。有名なのは、奈良県の龍田大社で7月初めに行われる風鎮大祭。勇壮な手筒花火は、神様へのごちそうです。富山県のおわら風の盆は、ちょうど二百十日のころ、毎年9月1日~3日に行われます。豊作でありますようにと、風神様の鎮魂を願うのです。