アメリカの民主主義をささえるもの
私が住んでいるマサチューセッツ州レキシントン町には「町長」という職がない。
町を運営するのは、町議会(Town Meeting)、行政委員会(Board of Selectmen)、タウンマネジャー(Town Manager)の三つの部門である。予算や条例を決めるのが町議会で、町の方針を決めるのが行政委員会、行政委員会の監督のもとに直接町政を運営するのがタウンマネジャーだ。
日本人にとってたぶん意外なのは、給与をもらっているのがタウンマネジャーだけという事実だ。住民の直接選挙で選ばれる21人の町会議員と5人の行政委員は、すべて無給のボランティアである。
幼稚園から高校まで一環した町の公立学校システムも、同じような形で運営されている。町議会が可決した予算の詳細と学校の方針を決めるのは選挙で選ばれた無給ボランティアの5人の教育委員で、学校の具体的な運営の責任者が有給の教育長だ。