片岡愛之助の私服と筋肉

今回取り上げるのは、歌舞伎役者の片岡愛之助さん。藤原紀香さんとの熱愛報道、熊切あさ美さんとの破局報道などで春から世間を賑わせ続け、つい先日、ようやく自身のブログで藤原さんとの交際を発表しました。そんな片岡さんを、なぜか「私服と筋肉」の観点から切り込もうとする武田砂鉄さん。いったい話はどこに向かっていくのでしょうか。

みんな、私服検索が好きだ

とある記事を作成するため、女子バレー日本代表選手について下調べする必要が生じ、検索画面に主力選手の名前を入れると、おおむね「私服」という連想キーワードが出てくる。みなさん、バレーボールを見ながら、この人の私服はどんな感じなんだろ、と調べているようなのである。バックアタックの精度や、無回転サーブの効果ではなく、私服の方向性。この連想キーワードを消すためには、私服でバレーボールをやってもらうしかなくなるわけで、ユニフォームを着て世界と戦うたびに、彼女たちは「私服」検索に付き合わされることになる。

「私服コーディネート」は女性ファッション誌のテッパン企画だが、なぜモデルたちの私服は、ありがたがられながら安定供給されるのだろう。こちらから必死に近付いていこうとする存在が、あたかもあちらから近付いてきてくれるかのような印象を受けるから、なのだろうか。大雑把にも程があることを申すと、伝説的なスタイリストたちは「洋服にはその人自身すべてが表れるものなの」といった格言を重ね合わせるように残してきたはずで、私服を開示する行為は、そのまま人となりを明らかにするに等しい意味を持つのだろう。日頃、スタイリストは、雑誌のイメージはもとより、このモデルに似合うかどうかという着眼でも服をチョイスしてくるわけだから、プロの意見を聞き込んだモデルは、「私服っぽい衣装」として与えられた服を参考に私服を買い込み、キャリアを積めば積むほど、「私服」と「私服っぽい衣装」の境目がなくなっていくに違いない。となると、私服として披露された私服は本当に私服なのだろうか。禅問答のような問いかけだ。

野球選手のオフシーズンの私服っぷり

藤原紀香と肩を寄せ合いながら歩く片岡愛之助をスクープした『FRIDAY』の写真を見ながら、「わっ、この人の私服、苦手」と久方ぶりに感じたのである。「個性はないけど、モノがいいので、それなりに見えるはず」という消極的な動機が全体を包み込んでいる。こちらはファッションに興味を持たない人間なのだが、どこかで記憶している「このファッション、苦手」という感覚。どこで感知したものだったか。なぜかベースボールキャップをかぶっていた彼を見て思い出す。そう、オフシーズンの野球選手の私服に対して覚える感覚ではないか。さすがに、金ジャラネックレスにセカンドバッグという、ちょっとしたチンピラ集団の首謀のような恰好をしている野球選手は少なくなったが、逆に、野球選手の私服は散漫になり、「(お金はあるので)色々いい感じのところを一通り買い揃えてみました」が溢れるようになった。ラフな感じを作り出すアプローチが、どうにも堅いのであった。

例えば『ダウンダウンDX』が私服の開示だけで1コーナー設けてきたように、テレビに出る人は、何かと私服がどんな感じかを観察される。その繰り返しの末に、知らず知らずのうちにイメージに対応する私服をコーディネートしていくようになる。私服はイメージ作りの一貫なのだ。野球選手はそのイメージ作りから堂々と逃れてきたから、先輩に倣って、セカンドバッグで球場入りしてきたのである。キャンプ時や国際試合などの飛行機移動や契約更改ではスーツ、その他の場面では基本的にユニフォームかジャージで登場するから、オフシーズンに出演するバラエティなどでその私服が開示されたときに、「うわっ、苦手」と思うのである。野球選手の私服、なぜ、苦手なのだろう。

なかやまきんに君の筋肉
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