NewsPicks佐々木紀彦「個人VS組織、テーマ性VS時事性、メディアの勝負はどこか」

cakes3周年シリーズインタビュー企画「メディアビジネスの未来」。経済情報に特化した会員制ニュースアプリNewsPicks編集長の佐々木紀彦さんインタビューの最終回です。
つねにNewsPicksというメディア・コンテンツに必要な一手を考え続けている佐々木さんは、経済メディアを個人と組織、そしてテーマ性と時事性の座標軸に分類しているそうです。果たして、NewsPicksが目指す先はどこなのでしょうか。

常に見に来てくれるユーザーをつくるコンテンツとは

加藤貞顕(以下、加藤) NewsPicksは、いまどのくらいのアクセスがあるんですか?

佐々木紀彦(以下、佐々木) 最近出した数字が会員登録をしていただいている購読者数が70万です。DAU(デイリーアクティブユーザー)はブラウザとアプリの合計で、非会員登録者数を含めて25万になります。

加藤 NewsPicksに集まっているユーザーは見に来る頻度(アクティブ率)が高そうですね。

佐々木 そうですね。けっこう高いと思います。

加藤 ネットメディアは、アクティブ率を高く保つのがたいへんですよね。たとえば、Twitterなどのソーシャルメディアでバズったら見に来てくれますが、それだと平時はサイトに来てもらえません。多くのメディアで抱えている悩みだと思いますが、そこはどうやって解決しているのでしょう?

佐々木 毎日読んでもらうためには、流通とかテクノロジーの要素が大きいと思います。コンテンツの質も高めなければいけないと思いますが、やっぱり起動が速いとか、インターフェイスが使いやすいとか、そういう方が大事だと思いますね。

加藤 操作性とかユーザー体験が大事だと。

佐々木 はい。コンテンツ的には、ちょっと今戦略を練り直しているところなんです。ちょっと加藤さんに相談したいくらいなんですけど。

加藤 ほう。どんなことでしょう?

佐々木 cakesも同じだと思いますが、「いつ読んでもいい」コンテンツが多いじゃないですか?

加藤 あ、「今読まなくてもいいコンテンツ」ということですか。

佐々木 はい。でも、ユーザーにもっと毎日来てもらうため、時事性のある記事を増やさなきゃいけないのではないかというのが今の問題意識なんです。たとえば、一方、時事性のあるストレートニュースって、そのとき読まないといけないものなので、毎日サイトを訪問するインセンティブになります。でも、ストレートニュースって腐りやすいじゃないですか。

加藤 長く読まれる記事ではありませんし、そもそもストレートニュースでは、もうお金は取りにくくなってますよね。

佐々木 今のNewsPicksの記事は雑誌っぽいんです。私が雑誌出身というのもありますし、来ているメンバーも雑誌色が強いというのもあります。あと、雑誌風の記事は長く読まれる内容のものが多いので、明らかに有料課金に向いています。
 たとえば、7月に出たスカイマークの新会長の佐山(展生)さんと堀江貴文さんの対談記事は、すごく雑誌的なコンテンツなんです。スカイマークの部分は今読まれるべき部分ですが、あとは別にいつ読んでもいい。この記事は多くの課金読者を獲得しました。そういう記事に力を入れればいいのか、時事性の高いコンテンツをつくってデイリーアクティブユーザーの獲得に力を入れるべきかで迷っているんです。

加藤 なるほど悩ましいですね。でもデイリーアクティブユーザーがいるから、広告が集まっているっていう面もありますよね。

佐々木 われわれも人的なリソースには限りがあるので、有料課金に向いている雑誌的なコンテンツと、時事性の高いストレートニュースを両方やるのは難しい。もちろん、同じ人たちが両方をやるのは無理だと思います。これは長距離走と短距離走みたいなもので、一人の人にマラソンやらせながら100m走をやらせると、死ぬと思うんです。
 そこで、ストレートニュースという形ではなく、短いストレートニュースのまとめをやるべきかどうか迷っています。たとえば、アメリカにはQuartzというスマホ経済メディアがあるんですが、毎日「Daily Briefing」というメールを通じて、今日読むべきニュースを教えてくれます。これがよくできているんです。

加藤 なるほど。ネットに向けたニュースのまとめをやると再訪率が伸びそうですけどね。

佐々木 私も伸びる気がするんですよ。新聞が提供しているものは網羅性であり、「これを見ておけば今日は終わり」ということだと思います。でも、それはまだNewsPicksは提供できていません。それができるようになったら、また違うステージに入れると思っています。

加藤 やった方がいい、のでは?

佐々木 もう答えが出ましたね(笑)。

経済メディアのマトリックス

佐々木 NewsPicksも含めた経済メディアの座標軸を、私は勝手にマトリックスにまとめているんです。

加藤 おお、それはどんなものでしょう。

佐々木 横軸は右が時事性(フロー)、左がテーマ性(ストック)。時事性のある記事は短くて軽いし、テーマ性のある記事はテーマそのものが重くて記事も長い。
 縦軸は上が個人重視(バイネーム)、下が組織重視(チーム)。つまり、記事を個人の名前で書くか、組織の名前で書くかということです。

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インターネットによって、さまざまな業態が変化する2015年のいま。メディアの形とビジネスの仕組みは、どのように変わるのか。cakesの3周年企画として、未来のメディアビジネスの形をつくろうとしているみなさんにお話を伺いました。シリーズ...もっと読む

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コメント

consaba # #daycatch #radiko 4年以上前 replyretweetfavorite

tsukappu なるほど。ストックをフロー化する。 4年以上前 replyretweetfavorite

tamaten_ ニュースアプリの進化を日々感じている。Picsは他ユーザとの絡みやすさいいですね。 4年以上前 replyretweetfavorite

oyamakumao 構成を担当しました。 4年以上前 replyretweetfavorite