言い切らない誠実さ、切り捨てるキャッチーさ

文章を読んでもらうためには、読者の心をつかむ「キャッチーさ」が必要です。しかしそれは事実を正しく伝える「誠実さ」とは相反することも……。事実を伝える心構えを、ニュースサイト「ナタリー」の社内勉強会「唐木ゼミ」ではどう教えているでしょうか?

言い切らない誠実さ、切り捨てるキャッチーさ

 「など」「といった」「ほか」「ら」......。これら、記述したもののほかにもなんらかの存在があることを示す言葉を、唐木ゼミでは「濁し言葉」と呼んでいます。

 たとえば並列の情報が全部で8つあるとき、A、B、C、D、E、F、G、Hとすべて書き連ねるのは、文字数の都合で難しいことが多いでしょう。そこで「AやBなどが」と濁して記述すると、一定のスマートさを得ながらも全体を述べられた気がします。ほかの要素をにおわせることで、事実に対してある種の誠実さが保たれるわけですね。

 しかし読者としては、なんだか輪郭がモヤモヤしてきて、あいまいな印象を受けます。たとえば「AやBらがCやDなどでE、Fといった楽曲を披露する」なんて文章があったらどうでしょうか。ひとつも言い切っていなくて、なんなんだ! という気持ちにならないでしょうか。

 一方で「AやBが」と誠実さを切り捨てたときに得られる強さ、キャッチーさがあります。このことを、ゼミでは「誠実さとキャッチーさの相克」と呼んでいます。

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コメント

NoReHero 「誠実さとキャッチーさをてんびんにかけて、言い切る勇気を持ちましょう。」なるほど 約3年前 replyretweetfavorite

spkspll 「物事をほんとうに誠実かつ正確に伝えようとすると、必ず歯切れの悪い表現になります。事実に誠実になればなるほど、キャッチーな 約4年前 replyretweetfavorite

kiq “公式発表された情報を、「開催されるといわれている」「明らかになったとのこと」と伝聞調で伝えているので、なんとも締まりがない文章になってしまいました。” 約4年前 replyretweetfavorite

sound09az つまり複雑に絡み合った事象ほどキャッチーに落とし込んだ言動は信用に値しないと( 約4年前 replyretweetfavorite