虚栄心は、言葉を太らせる。

ポップカルチャーの情報発信の拠点となっているニュースサイト「ナタリー」で、取締役を務める唐木元さんのインタビュー第2回です。ナタリーに入社してからの7年で、2万2000本くらいの原稿に赤字を入れているという唐木さんが、どんな風に「良い文章」の書き方を見つけていったのでしょうか。実は、2つの種類の「自信のなさ」が、文章を悪くするそうです。いったいどういうことでしょうか。
cakesでも特別掲載中の著書『新しい文章力の教室』と併せてお楽しみください。

30枚の「構造シート」でその後の記者人生が変わる

加藤 この本でひとつ疑問があったんですよ。

唐木 なんでしょう?

加藤 いちばん最初のプロセスとして、書き始める前に「主眼」と「骨子」をつくる、という話が書いてありました。「主眼」は「何を言うためにこの文章があるのか」という目的というかテーマの部分ですよね。「骨子」は、内容について、どんなことをどういう順番でどれくらい書くかということで。

唐木 ええ。地図でいえば「主眼」が目的地、「骨子」が経路ですね。

加藤 この「主眼」とか「骨子」という言葉、あまり一般的ではありませんよね? 単に「テーマ」とか「内容」と言うのではダメだったんですか?

唐木 や、ぜんぜんダメじゃないです。ただ新入社員向けの講義を開くようになって、最初のころは「コンセプト」とか「意図」とか「テーマ」と言っていたんですよ。ただ主眼って呼ぶと「目」、つまり「頭」であるってイメージを持ってもらいやすいんですよ。それを骨格というか「骨子」が支えている。そう説明するようになって、構造に対するみんなの理解度が一気に上がったので。

加藤 なるほどなあ。

唐木 「テーマ」とか「コンセプト」って抽象的で、ビジュアライズしづらい言葉ですよね。それより、「頭は考えられるけど、歩けないよね。考えたことを実行するのが骨なんだよ」って言ったほうが、頭の中に絵が浮かぶでしょう?

加藤 なるほど。

唐木 そんなふうに人に教えることでわかってきたことって、いっぱいあるんですよ。たとえば、賢い子ほどせっかちで一段飛ばししたがる、とか。

加藤 一段飛ばし?

唐木 上達の階段をね。本にくわしく書いたのですが、ゼミでは記事の材料が集まったところで、その文章をどのように組み立てるか可視化した「構造シート」を手書きで書いてもらうんですね。記者になって30本目の記事までは、面倒でも必ず書け、と。ところが……。

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22,000本の赤字の果てに—ナタリー唐木元インタビュー

唐木元

月に3000本以上の記事を配信し、ポップカルチャーの情報発信の拠点となっているニュースサイト「ナタリー」。その運営会社「ナターシャ」で取締役を務める唐木元さんが、cakesでも特別掲載中の著書『新しい文章力の教室』を上梓しました。なん...もっと読む

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コメント

baka_justice 発見、着眼がないと、どんなに飾ろうが盛ろうが良くならない。自戒を込めて。 約1年前 replyretweetfavorite

zokkon 作品としての文章だけじゃなくて事務的な文書作成にも同じことが言える。 2年弱前 replyretweetfavorite

kiq 1件のコメント http://t.co/aR0aDlZx3w 2年弱前 replyretweetfavorite

kiq 1件のコメント http://t.co/aR0aDlZx3w 2年弱前 replyretweetfavorite