常識を疑い、そして自分の目で確かめる。
創作うどんを売りにする店にしようと決めていた。俺のような素人が王道を行こうとしたって老舗に勝てるわけがない。うちの店でしか食べられない創作うどんで勝負するしかない。なかでもカレーうどんを柱にしようと考えていたので、カレーに関する情報も集めまくった。スパイスや小麦粉に関する文献も、目を皿のようにして読んだ。そのへんの国産よりも優れたオーストラリア産のうどん用小麦があることがわかった。
もちろん、讃岐地方をはじめ国内に優れたうどん用小麦はいくつもある。しかし希少な優良国産小麦が、昨日や今日うどん屋を開いたばかりの東京の素人の手に入るわけがない。そんなものは老舗がとっくに押さえている。小麦粉はオーストラリア産を使うことに決めた。うどん用の小麦粉は国産が輸入物よりも良い。手打ちの方が機械打ちより旨い。これらは間違った常識だ。もっともらしい能書きに騙されてはいけない。希少な国産小麦は輸入小麦より高価だ。手打ちのほうが機械打ちよりも人件費がかかる。値段が高い物は良質。日本人がもっとも陥りやすい常識の罠だ。
輸入タワシの商売をするなかで、世の中には間違った定説やカビの生えた常識がたくさんあることを俺は学んでいた。なにか新しいことをはじめるときには、必ず自分の手で調べ、自分の目で確かめるほうがいい。
最初に成功すれば、その時点では世界一
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。