22歳にしてホームレス予備軍、ワタナベくんの抱える複雑な事情 【若者の貧困・前編】

20代にして日本の貧困問題の解決を目指すNPO法人「もやい」理事長を務める大西連さんが、日本に蔓延する見えない貧困に迫った著書『すぐそばにある「貧困」』。今回はその中から、22歳という若さで貧困におちいってしまった青年の話を紹介します。一見いい加減で、こうなっても仕方がないと思われそうな彼の生き方。しかし、彼の貧困から見えてきたのは、自己責任の一言では済まされない複雑な家庭事情だったのです。

「イケメン」ホームレス予備軍との出会い

「家出してきたんです。どうも仕事とかうまく見つからなくて」

ワタナベくん(仮名)はそう言うと底抜けに明るく微笑んだ。

2011年5月、新宿中央公園の炊き出しで彼とは出会った。聞けばまだ22歳。年下の人の相談にのるのは初めてで緊張する。パーマのかかった茶髪、おしゃれなパーカー。今風のイケメンという感じだ。


「え~と、ボランティア希望ではなくて、相談なんだよね?」

「はい。実家を出て東京に来たものの仕事が見つからなくて。いま借りているマンスリーにいられるのも今週いっぱいだし。相談先を探してるうちに、ここにたどり着いたんです」

なるほど。若者ホームレス予備軍とでも言うべきだろうか。

「何か事情があったの? お金にも困っている感じだよね」

「はい。父に二度とうちの敷居をまたぐなって追い出されたんです。もともと暴力的な人なんですけど、最近は特にひどくて。殴られることもしょっちゅうだし。手元の5,000円が全財産です。あと5日で泊まれるところもなくなっちゃうし、困ったなあって」

笑いながら話してはいるが、切迫度は高いようだ。

「わかりました。詳しく話を聞かせてください。立ち話もなんだし、近くのファミレスにでも入りましょうか」

「あ、え、え~と」

ワタナベくんは、急にモジモジしだした。

「どうかしましたか?」

「あの、僕、お金が……」

不注意だった。見た目にはまったくわからないが、彼はいまお金に困っているのだ。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
すぐそばにある「貧困」

大西連

「僕たちと貧困を隔てる壁は、限りなく薄く、もろく、そして見えづらくなっています」 20代にして日本の貧困問題の解決を目指すNPO法人「もやい」理事長を務める大西連さんが、日本に蔓延する見えない貧困の実態に迫ります。貧困の背景に...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

inoueakihiro これは貧困じゃなくて家出。  約4年前 replyretweetfavorite

narumi27x28 https://t.co/lwV4zpUWBs 約4年前 replyretweetfavorite

kiq 1件のコメント http://t.co/zccjvlhMEA 約4年前 replyretweetfavorite