稲田豊史 /牧村朝子
美人なしずかちゃんと、おブスなジャイ子【第9回】
『ドラえもん』において、ヒロイン的な位置づけにあるしずかちゃん。いっぽう、彼女と比較して、なんとなく“悪い”イメージで登場してきた「ジャイ子」。しかし、2015年現在、しずかちゃんのような振る舞い方は本当に望ましいのでしょうか? 今回は、ジャイ子について語りつつ、セーラームーン世代の生き方を考えます。
しずかちゃんは性格が悪い?
稲田 『セーラームーン』の話からかなり脱線してますけど(笑)、『ドラえもん』に出てくる女の子についてもう少し話してもいいですかね。
牧村 しましょう(笑)。
稲田 『ドラえもん』って、女の子のロールモデルはしずかちゃん1人だから、すごく昭和的ですよね。女の子はスカートをはいて、紅一点で、大人しくせよと。きっとしずかちゃんを見て育った世代の人は、少なくともセーラームーンみたいに前に出てガンガン問題解決するってことには絶対ならない。
牧村 そうでしょうね。もちろんそうじゃない人もいるにしろ、時代としては「職場の花」とか「腰掛けOL」だなんて言葉もあった頃ですから。
稲田 で、しずかちゃんの好対照として出てくるジャイ子は、ダンゴ鼻で、ガラガラ声で、ガサツで残念な子という描かれ方。連載後期に補正も入りますが、おおむねバッドイメージ。超わかりやすい。でもですね、なんだかんだ言って、しずかちゃんは性格悪いですからね。
牧村 そうなんですか?
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この連載について
稲田豊史 /牧村朝子
アラサー女子=セーラームーン世代の心理を『美少女戦士セーラームーン』の作品解釈とともに明らかにし、話題となっているのが、『セーラームーン世代の社会論』です。自身もセーラームーン世代であり、セーラームーンには一家言ある牧村朝子さんと、著...もっと読む
著者プロフィール
1974年生まれ。編集者、ライター。映画配給会社ギャガ・コミュニケーションズ(現ギャガ)に入社後、キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。映画をはじめとしたコンテンツレビュー、エンタメビジネス記事、ルポ、コラム、書籍編集などを手掛ける。
著書は『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『ぼくたちの離婚』(角川新書)、『「こち亀」社会論 超一級の文化史料を読み解く』(イースト・プレス)。おもな編集書籍は『押井言論 2012-2015』(押井守・著/サイゾー)、『ヤンキーマンガガイドブック』(DU BOOKS)、『団地団 ~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著/キネマ旬報社)。
「サイゾー」「ビジネス+IT」「SPA!」「女子SPA!」などで執筆中。
【WEB】http://inadatoyoshi.com
タレント、文筆家。2010年、ミス日本ファイナリスト選出を機に芸能界デビュー。2012年渡仏、フランスやアメリカでの取材を重ねる。2017年独立、現在は日本を拠点とし、執筆・メディア出演・講演を続けている。夢は「幸せそうな女の子カップルに"レズビアンって何?"って言われること」。出演『ハートネットTV』(NHK総合)ほか、著書『百合のリアル』(星海社新書/2017年、小学館より増補版刊行)『ハッピーエンドに殺されない』(青弓社/2017年)ほか。愛称は「まきむぅ」。