タモリと戦後ニッポン』刊行記念特別編—タモリ、日本政治を語る

『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)発売を記念した、「タモリの地図」特別編の後編です。政治について語ることを避けてきたタモリですが、35年前の雑誌記事で政治についてある"予言"をしていました。それは見事に的中し、それどころか、35年後の現代日本人の政治姿勢に対しても、非常に示唆的な発言でした。

終戦直後に生まれ古希を迎えた稀代の司会者の半生と、 敗戦から70年が経過した日本。
双方を重ね合わせることで、 あらためて戦後ニッポンの歩みを 検証・考察した、新感覚現代史!
まったくあたらしいタモリ本! タモリとは「日本の戦後」そのものだった!

タモリと戦後ニッポン(講談社現代新書)

自民党の勝利を予言したタモリ

国会というか日本の政界というか、よく特殊な世界だという人がいるけど、オレはそうは思わないね。日本人の箱庭、日本人のメンタリティーをみごとに現している世界だよ。(中略)質問や答弁に平気できたないヤジは飛ぶし……。それを認めて、そして望んでいるのが大多数の日本人で、その人たちが自民党を支えてるんですよ。(中略)だから、今度の選挙で自民党が過半数を割ることはないだろうね。田舎をまわっていると、ほんとに日本は遅れているのがよくわかるんです。

これは安保法制案などをめぐり混乱する昨今の政界を評したものではない。1980年5月、野党が衆院本会議に提出した大平(正芳)内閣不信任案が、与党自民党の反主流派の欠席から可決、予想外の「ハプニング解散」となり、史上初の衆参両院の同日選挙が決まったあとのタモリの発言だ(『朝日ジャーナル』1980年6月13日号)。

タモリは「自民党が過半数を割ることはない」と断言しているが、衆院解散時にそう予測した識者・知識人はけっして多くはなかった。これというのも、70年代を通じて自民党と野党の勢力は伯仲しており、しかも前年の79年の総選挙では大平首相が公約に一般消費税の導入を掲げたこともあって(のち取り下げる)、自民党は議席の過半数を割っていたからだ。ここから自民党内では大平の責任を求める反主流派が主流派との対立を深め、先述の本会議欠席へとつながっていく。一方で野党勢力は連合政権構想を固め、その実現は遠くないものとも思われた。

だが、その選挙公示(5月30日)直後に大平は病に倒れ、入院の末に急死したこと(6月12日)で事態は急転、結果的に自民党は総選挙で安定多数を獲得して大勝する。タモリの予想は的中したことになる。

『いいとも!』が3人の知事を輩出した理由
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この連載がついに書籍化!「森田一義」はいかにして「タモリ」になったのか。関係者への追加取材や大幅加筆でその足跡をさらに浮き彫りにします!

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タモリの地図—森田一義と歩く戦後史

近藤正高

2014年3月31日、『笑っていいとも!』が32年間の歴史に幕を下ろしました。約32年間、毎日テレビに出続け今や国民的タレントになったタモリ。そんな「昼の顔」だけでなく、アングラ芸で身を起こし、深夜番組『タモリ倶楽部』で披露する「夜の...もっと読む

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コメント

donkou ついに本日、 4年以上前 replyretweetfavorite