悩まず書くためにプラモデルを用意する

ニュースサイト「ナタリー」で新人記者を育てている文章教室、通称「唐木ゼミ」。2回目の授業は、迷わず書くための下準備について。大事なのは書き始める前に「主眼(テーマ)」と「骨子」を用意しておくこと。そして「プラモデル」を組み立てるつもりで書くことです。書くのが苦手だと思っているあなた、細かな言葉づかいにとらわれて悩んでいませんか?

事実・ロジック・言葉づかいの3層構造

 ゼミで「完読を目指しましょう」と言うと、気の利いた言葉を選んでみたり、目新しい比喩を繰り出したりと、レトリックの工夫で背伸びをしようとする人があとを絶ちません。残念ですが、その努力は当面、見当違いと言わざるを得ません。

 ではどこを努力すべきか。それを理解するためにはまず、文章の多層性について知っておく必要があるでしょう。森の地面が落ち葉、腐葉土、黒土と層になっているように、文章も概念のレイヤーが積み重なってできている、ということです。

 いまあなたが目で追っているこの文字列、目に見えている言葉そのものが、いちばん表層のレイヤー。ここでは「言葉づかい」と呼ぶことにしましょう。

 言葉づかいの下には、どんな文章でも表層の論理が仕込まれています。言いたいこと伝えたいこと、こうだからゆえにこうなのだ、という「ロジック」(論理)のレイヤーです。

 さらにその下には、この世界の事柄ひとつひとつ、ここでは「事実」と呼ぶレイヤーが横たわっています。出来事や日にち、人の名前、ものの名前、行為、場所などなど。この層から取ってきた事実を組み合わせて、ロジックは形作られています。

 「事実」「ロジック」「言葉づかい」の3つのレイヤーは、取り返しのつかない順序で積み重なっています。どれだけ美文を連ねても、事実に誤認があったら実用文としては0点です。またロジックがおかしな文章は、言葉づかいでは挽回できません。

書く前に主眼と骨子の「地図」を持つ

 「事実」に立脚した上に「ロジック」が成立していて、初めて「言葉づかい」を云々できる、という話をしました。ではロジックを立てる、すなわちロジカルに書くにはどうしたらいいでしょうか。


 私はいつも「書き始める前に、主眼と骨子を立てることだ」と答えています。聞き慣れない言葉かもしれません。ここは丁寧にやっていきましょう。

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コメント

tamura_jp 「書き始める前に主眼と骨子を決めておく」とは、言い換えれば「作文をプラモ化しておく」ということなのでした。 4年弱前 replyretweetfavorite

manga_koji あんたプラモデル言いたかっただけじゃないのか?と 4年弱前 replyretweetfavorite

SiouxsieQ5 |新しい文章力の教室|唐木元 @rootsy |cakes(ケイクス) プラモデルを作るように漫画を描いてしまいます。。 https://t.co/8GyCCsmfVO 約4年前 replyretweetfavorite

regista13 「プラモデルのように作文する」っていい表現だなあ。ほんとその通りだと思う 約4年前 replyretweetfavorite