初対面の相手と、いかにスムーズにコミュニケーションをはかるか——。 そんな営業マンのような悩みを抱えてきたプロレスラーは僕ぐらいだろう。何しろ『ワールドプロレスリング』が地上波ゴールデンタイムで放送されていたころに活躍していた先輩方と違って、僕には知名度がない。 だからプロモーションに行くと、ラジオのMCや記者の方は僕を見て「戸惑いの表情」を浮かべるのだ。
「新日本プロレスの……、たか・はし、さん?」
「いいえ、たなはしです」
ここが出発点だ。僕は自分から歩み寄る。いかに距離をつめて、話を盛り上げて、こちらに興味を持ってもらうか。 僕なりに、いろいろな方法を考えた。
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