みなさん、ごぶさたしております。
今年のブルゴーニュは暑く、そして雨が降らずに乾燥していました。
そのため、今年植えた苗木に水をやる作業を、もう三回もおこないました。
なぜ「今年植えた苗木」だけに水をやるのかというと、若い苗木は根がまだ、地中深くまで伸びていないので、そのぶん、地表からたくさんの水分が必要になるからです。
(ちなみに、3年未満のアペレーション(AOP)を名のれない苗木以外には、水をやることは禁止されています)
今年は、6月1日から今日このレポートを書いている7月17日までで、20日以上30度を超えた日を数えました。
私の記憶では、6月最後にまとまった雨(6/18に0.8mmなどわずかな量が降ったのは別として)が降ったのは6月14日の50mmで、今日まで本当に乾燥した天気が続いています。
7月10日にコートドール県では、水の使用制限が出ました。
車を洗ってはいけないとか、農業の従事者以外は花などに水をやってはいけないというものです。
2003年にも水不足の年がありましたが、それに負けず劣らずの気候です。
その反面、毎年のように降っていたひょうは今現在まだ降っていません。
ひょうはぶどうの木や実に傷をつけ、ひどい時は全てダメにしてしまうことすらあります。
水不足は、水まきをしてやればなんとかなることですが(大変ではありますが……)、ひょうは防ぎようがない自然災害なので、生産者は少しほっとしている面もあります。
今年はこのまま、ひょうが降らないことを祈ります。
さてそんな今年のぶどうの出来はというと……
まだ今の時点では話すのは速いですが、開花以降、花ぶるい(ぶどうの花のうち、開花直前に2〜6割を残して花が落ちること)などであまりぶどうの房がならず、平年の20%減という感じです。
このまま日照りが続くと、ぶどうが焼けてしまい、収穫量に影響が出ます。
私達の畑にはカビなどの病気はほぼ見当たりませんが、生産者によっては、本当に多くの病気にかかってしまうこともあります。
雨が少ないことで、ぶどうの凝縮という意味ではすばらしい年になりそうですが、バランスという意味では適度な雨がほしい感じです。
今年と気候がよく似ているという2003年は、糖分が高かったためアルコール度数はとても高いものになりましたが、酸はとても低く、バランスが取れていないワインとなりました。ピノノワールの特徴である酸がないワインになった年でした。
トラックにタンクを積んで畑に行きます
今年5月に植えた苗木に水まき
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根元に近い葉っぱが水不足のせいか黄色くなっています