他社から抜き出る営業は何をしてる?

営業活動に邁進する美沙に立ちはだかる大きな壁。しかし、思考ノイズのない美沙にとってはそれは乗り越えるべく設けられた障害でしかない。この小説は、ひとりの崖っぷちOLが会社の魂を変えるまでを描いた新感覚のビジネス小説です。

昨日、東條にタイムマネジメントのことを聞いた美沙は、さっそく自身のタイムマネジメントを作成した。朝7時30分に出勤をして、始業時刻の9時までに社内業務を済ませる。他営業陣の出勤後、10時まで営業事務の仕事をこなす。問題がなければ、11時から客先訪問だ。フィールドタイム(外に出て営業活動をする時間)は11時から16時までの5時間に決めた。この計画で行くと、1日5件は客先訪問ができるという結果になった。

単純接触を回数こなすことが、信頼関係を結ぶ唯一の方法だ、と坂井は言った。美沙はそれに従い、とにかく、足繁く顧客訪問を続けた。

 異動確定まで残すところ2ヶ月。3分の1が過ぎてしまった。依然として受注の気配はない。しかし、焦りは禁物。美沙はそう自身に言い聞かせ提案書の作成に没頭した。

「浅井さん、ミツカワ電機の提案書は明日持ってくんだよな? がんばれよ」涙を見られたあの日から、東條はこうして声をかけてくれるようになった。なんだか今では美沙もすっかり心を許してしまっている。その様子をみて、目の前に座る村中が話に加わってきた。

「浅井さん、ミツカワ電機の誰に提出するの?」

「南課長ですけど」

「やっぱりかぁ。彼はダメだよ」

「えっ?」

ミツカワ電機は村中から美沙が引き継いだ客先だった。

「いや、俺もずっと南課長に渡してたんだけど、一向に稟議をあげてくれなくてね。そしたら坂井部長に言われたんだよな」

4ヶ月前。

「村中くん、なかなか提案書をみてもらえないそうですが、なぜだと思いますか?」

「なぜ……でしょう。いつもちゃんと南課長に渡しているんですが」

「たしか、ミツカワ電機は最終決裁者は近藤部長ですよね。なぜ南課長に渡すのですか?」

「いつも南課長に提案書を持っていくことになっていますので」

「南課長にそう言われたのですか?」

「いや、そんなことはありませんが……」

「いまから商談履歴をチェックします」

 坂井は自身のパソコンを開き、今までのデータから構築した商談履歴ファイルを開いた。

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キラキラOL浅井美沙 わたし今日からキラキラをやめてギラギラします!

菅沙絵

仕事なんて、生活のため、寿退社までの腰かけに過ぎないと思っていた――。 そこに突如まいこんだ『希望退職者募集のお知らせ』。 やる気ゼロの崖っぷちOLが会社の魂を揺り動かすようになるまでの奇跡の成長を描く。 Yahoo!トピッ...もっと読む

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chiponyo 公開されました!|[今なら無料!]キラキラワードに騙されるな! 私たちはやる気をなくす言葉に囲まれている 5年以上前 replyretweetfavorite