店舗を駆逐するのではなく
支援して伸ばすことで勝つ
──国内でアマゾンが攻勢を強めている。
もともとアマゾンを意識してビジネスを始めたわけではないし、結論から言えば、アマゾンが便利で何でもそろうサイトとなっても、うまくはいかないだろう。なぜなら買い物のワクワク感もなく、興奮させる仕組みがないからだ。過去につぶれた大型デパートがいい例である。
われわれにはその仕組みがある。楽天というと一つのブランドのように見えるが、実は出店者4万店のブランドの集合体である。専門店一つ一つに特徴があり、個性が出せる仕組みを取っている。
あくまでも楽天のビジネスモデルの基本は出店者を助け、その力を高めていくことである。出店するほうも努力や工夫を重ねて、しかも楽しいために、単純に安さだけを売りにするお店にはない強さがある。
今や楽天市場には1億点以上の商品が並んでおり、「ないものがない」という状況に近づきつつある。私は今着ているスーツから下着まで楽天でそろえているが、価格競争力も圧倒的に強い。
アマゾン型モデルはあらゆる店舗を駆逐していくが、楽天型モデルは店舗を支援して伸ばすことで自らも成長する、店舗中心のものだ。そうしたモデルのほうが世界の小売店や地場産業から求められている。時間はかかるかもしれないが、最終的にはわれわれのほうが持続可能なモデルだと証明されるだろう。