誰もが、発信者となれるネット社会では、いつ、どこで、誹謗中傷の対象となり、逆に誹謗中傷をする側になるかもわかりません。プライバシー情報が晒され、また晒すかもわかりません。誰もが持っているネガティブ感情が、ネット上ではより強くなり得るということに、私たちはより注意深く向き合う必要がありそうです。
SNSなどで、誰もが自分の生活を発信できるようになったいま、その生活ぶりが怒り、妬みの対象になることもあります。「リア充爆発しろ」(リアルの生活が充実している人に対する、怒り、嫉妬を表現する悪口の一種)というネットスラングがあるように、見ず知らずの人、何らかの接点はあるが具体的に交流がない人からの怒りや妬みを買い、それがネットでの中傷の原因になることもあります。
こうした被害に遭わないよう、情報発信には注意が必要です。
① 写真を投稿するとき
フェイスブックのタイムラインを眺めていると、たとえば、「鈴木さんは、佐藤さんと一緒に、日比谷公園にいました」というように、訪れた場所が特定されていることがあります。
ほとんどのスマートフォンには、GPS機能が搭載されています。また、デジタルカメラの多くにもGPS機能が搭載されています。
スマートフォンやデジタルカメラを使うとき、取扱い説明書をよく読まずに、GPS機能がオンの状態で撮影すると、GPSデータが写真のExif(Exchangeable image file format/エグジフ)情報として記録されます。
このエグジフ情報が記録された写真をアップロードすると、自宅で撮影した場合は自宅の場所が第三者に知られてしまい、エグジフ情報を削除していないSNSに画像を投稿した場合は、あなたがいる場所や訪問した場所が不特定多数の人に特定されてしまいます。まさに、個人情報や行動が漏れてしまいます。しかし、後々何か問題が起こったときには、自分で自分のプライバシーを公にしているのですから、削除請求できない可能性が高くなります。
自分のあずかり知らないところで、自分に関する記事や情報が拡散してしまう点においては、デジタル時代となったいま、写真を撮るとき、撮られるときにも注意が必要です。
フェイスブックなどのSNSには、自分自身で投稿したプライベート画像が氾濫しています。リベンジポルノとも共通していますが、デジタル画像は加工が簡単なため、その画像が見知らぬ誰かによって、コラージュ、合成といった別の使われ方をされ、被害を受ける可能性もあります。
また、フェイスブックを利用している人は、基本設定を確認し、タグ付けされた情報が自分のタイムラインに表示されないようにしておかないと、自分がどこにいたか、といった情報が自分のタイムラインに表示されてしまいます。
たとえば、フェイスブックの友達が一緒に写った写真にあなたの名前をタグ付けすると、その写真があなたのタイムラインにも表示されます。
そのため、あなたがどこで誰と一緒にいたか、ということがほかの人にも簡単に知られてしまいます。もし、公開を望まない写真だったとしたら、あなたはプライバシー侵害の被害を受けることになります。
また、一度でもタグ付けされると、フェイスブックの自動タグ付け機能により、あなただと思われる写真が投稿された際、友達がタグを付けやすくなります。この機能により、さらに写真にタグ付けされる機会が増えます。
接待ゴルフで撮られた写真を、ほかの参加者が断りもなくフェイスブックに投稿してタグ付けされれば、ライバル会社の社員の目に触れ、取引に支障が出る、ということもあるかもしれません。
フェイスブックの設定で、自動タグ付け提案をオフにしておく、タグ付けされた写真等が自分のタイムラインに表示されないようにしておくなどは、プライバシーを保護する上では重要です。
打ち合わせや食事会の画像をよくフェイスブックにアップしている人を見かけますが、顔がはっきりわかる画像は自分だけでなく、そこに写った人すべてのプライバシーを公表していることになります。これは、タグ付けに限った話ではありません。
②公開範囲を決める
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