稲田豊史 /牧村朝子
タキシード仮面はかっこいいのか?【第7回】
『セーラームーン』で重要な役割を果たすのはセーラー戦士たちだけではありません。その1人がタキシード仮面。「憧れの異性」の立場に置かれていたタキシード仮面=地場衛のことを、セーラームーン世代の女性たちはどうのように感じていたのでしょうか?
タキシード仮面は「憧れの異性」の立場のはず……?
稲田豊史(以下、稲田)牧村さんはタキシード仮面をどう見てましたか?
牧村朝子(以下、牧村)「おもしろい!」と思ってた。だって名前が「タキシード」で「仮面」ですよ!?
稲田 子どもの頃からおもしろいと思ってましたか?
牧村 思ってました(笑)。
稲田 「タキシード仮面はカッコいいのか、滑稽なのか問題」は、本を出したあとも引き続きリサーチを重ねてるんですよ。タキシード仮面=地場衛を本気で「カッコいい王子様」と思ってた人って、あんまりいないんじゃないかと。多くは牧村さんのように、ちょっと滑稽な対象だったみたいですけど、たまにちゃんと憧れている人もいて。
牧村 まもちゃんと付き合いたいってことですか?
稲田 完璧なヒーローとして。
牧村 まあたしかに、女の子にいいとこ譲ってくれるし、見守っててくれるし、年上だし、包容力あるし。名前は「タキシード仮面」だけど(笑)。
編集 私は幼稚園の頃『セーラームーン』を観ていましたが、その年齢だとそもそも「タキシード」と「仮面」の取り合わせがおかしいなんて、全然わからなかったので、ふつうにかっこいいものとして受け取っていましたよ。「セーラームーンごっこ」をする時には、クラスでカッコいい男の子をタキシード仮面に据えるよう頑張っていました。
稲田 男の子も巻き込んでたんですか?
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この連載について
稲田豊史 /牧村朝子
アラサー女子=セーラームーン世代の心理を『美少女戦士セーラームーン』の作品解釈とともに明らかにし、話題となっているのが、『セーラームーン世代の社会論』です。自身もセーラームーン世代であり、セーラームーンには一家言ある牧村朝子さんと、著...もっと読む
著者プロフィール
1974年生まれ。編集者、ライター。映画配給会社ギャガ・コミュニケーションズ(現ギャガ)に入社後、キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。映画をはじめとしたコンテンツレビュー、エンタメビジネス記事、ルポ、コラム、書籍編集などを手掛ける。
著書は『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『ぼくたちの離婚』(角川新書)、『「こち亀」社会論 超一級の文化史料を読み解く』(イースト・プレス)。おもな編集書籍は『押井言論 2012-2015』(押井守・著/サイゾー)、『ヤンキーマンガガイドブック』(DU BOOKS)、『団地団 ~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著/キネマ旬報社)。
「サイゾー」「ビジネス+IT」「SPA!」「女子SPA!」などで執筆中。
【WEB】http://inadatoyoshi.com
タレント、文筆家。2010年、ミス日本ファイナリスト選出を機に芸能界デビュー。2012年渡仏、フランスやアメリカでの取材を重ねる。2017年独立、現在は日本を拠点とし、執筆・メディア出演・講演を続けている。夢は「幸せそうな女の子カップルに"レズビアンって何?"って言われること」。出演『ハートネットTV』(NHK総合)ほか、著書『百合のリアル』(星海社新書/2017年、小学館より増補版刊行)『ハッピーエンドに殺されない』(青弓社/2017年)ほか。愛称は「まきむぅ」。