■自分は何にもわかってなかった。
『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。
これ、凄い。 正直に言いますと全然期待してなかっただけに揺り返しが凄い。物凄く良いです。良かったです。いつものトム・クルーズやらエイブラムスやらの面子で「すげー金かかってて派手だけどまあそんなもんだろ。カップルが無難なデートコースとしてでも見ておきゃええんや」程度の、適度に面白い優等生映画だろ、ぐらいに思ってました。
全然違う。全然、自分は何にもわかってなかった。めちゃくちゃ面白い。
スパイものというのは陽気にやるか陰鬱にやるかで結構変わってくるジャンルなのですが、ミッションインポッシブルのシリーズって割とお笑い系に振ってるコメディアクションなとこあったんですが、そして今回も基本そうなんですが、とにかく出来がいい。しかも笑いの質とかウィットとかそういうのではなく、純粋に内容が面白い。
最初こそ、飛び立つ飛行機に素手でしがみつくイーサン・ハントとかボギー・ザ・グレイトかよって思ってたし、最初の拘束シーンで都合良く柱が天井まで届いてないのとか苦笑いして見てたんですが(ここの脱出シーンでトム・クルーズが力ずくを選んだ辺りからちょっと視聴する顔が真剣になってきた)、そこからはなんとスパイ映画の王道、裏切りと陰謀の多重攻撃。裏切りのサーカス並のミステリ感を匂わせつつ、アクションと軽快なジョークを交え陰鬱さを消していく。
IMFが解体、孤立無援、というシチュエーションはこの手の映画に限らずよくある逆境なのですが、イーサン・ハントは無敵なので半年逃げおおせる。無意味に髭を伸ばして。髭ぐらい剃っていいんですが。その後、すぐ剃ってるし。
江波光則氏
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