セーラームーンになりたいのか? その輪の中に入りたいのか?
稲田豊史(以下、稲田) 『美少女戦士セーラームーン』って、女の子たち同士が仲良くしている様子を、かなりの分量で描いてたじゃないですか。戦いの前なのにお茶を飲んでガールズトークしたりとか。当時僕は高校生でしたけど、あの輪に自分が入っているような気分になれたのが、実に良かったんですよ(笑)。
牧村朝子(以下、牧村) ホントにね〜。やっぱり『セーラームーン』を観る時の目線には、大きく2つあると思います。1つは「鑑賞してる人」ですよね。完全に画面の外にいて、セーラームーンたちの物語を観ている、「鑑賞者ポジション」の人たちがいると思うんです。もう1つは、画面の中に入りたくて「この子になりたい」「あの子になりたい」っていう見方で観ている人がいる気がするんです。稲田さんは、ヴィーナスがお好きっていうことでしたが、「ヴィーナスになりたかった感」はあるんですか?
稲田 「なりたかった感」はないんですけど「輪に入ってる感」はあったので、今、女性がいっぱいいるところでしゃべるのがラクなんですよ。飲みとかで。
牧村 男が自分1人でも?
稲田 はい。ラクです。高校・大学時代は、ほとんど女っ気のない生活をしてたんですが(笑)、テレビの向こうのセーラー戦士たちを毎週観てたので……
牧村 「この雰囲気知ってる〜!」っていう感じ?
稲田 そう! のちに「自分以外全員女」という場面に遭遇しても、『セーラームーン』で耐性がついていたので平気でした。というか、ああ、セーラー戦士たちの「輪」ってこんな感じだったのかと。感慨深かったですね。
牧村 私も超思ってました。6歳の時に、セーラームーンたちとピクニックに行ったことありますもん。