星野源が嫌われない理由を探しに

歌手、俳優、文筆家など、多方面で活躍している星野源さん。多くの人に愛され、とりわけ文化系女子と括られる女性たちから絶大な人気を得ている彼は、なぜそこまで愛されているのでしょうか。先日のフジロックフェスティバルですっかり彼の虜になってしまった武田砂鉄さんが、その魅力に迫ります。

シャボン玉は環境に悪くないのか

サマーソニックにEXILEファミリーが出ることになったと聞いたので、フジロックへ出かけた。フジロックという場所は、時たま菓子パンの空き袋を缶専用ゴミ箱に捨てたりしてきた人すら、たちまち「ゴミを分別しないなんてあり得ないから」と言い出しかねないポジティブなオーラに包まれている。初めて出向いたのはもう10年以上も前のこと。当時、世の中のポジティブに対して押し並べて斜に構えていた青臭さ満開のこちらは、あちこちでお客さんがピースフルにシャボン玉を吹きまくっている状態を指差して、「石鹸を野に放ってたら、環境に悪くないか?」と声に出しては、同行者の顔を曇らせていた。

「しっとりした曲をやるのでカップルの人はセックスを始めてください」

今、星野源は演じても、歌っても、書いても、喋っても、押し並べて認められるものを届けてくる。目立つ世界の中に住む自然体は、往々にして不自然体を通り越した上でようやく辿り着くことが多いが、この人はどのジャンルに顔を出しても、いつも初っ端から自然体を確立してくる。とりわけ文化系女子と括られる人達から絶大な人気を得ている星野源。この数年、「北欧が好き」的なラフさで「星野源が好き」という宣言がいたずらに溢れすぎて、他人から「星野源とか好きでしょー?」とズバリ当てられることを煙たがる人が一定層生まれている気配を察知する。

7月25日のフジロックでのライブが、彼のライブを観る初めての機会になった。10年以上前、「石鹸撒いてたら環境に悪い」と漏らしてひんしゅくを買ったように、全肯定されがちな星野源に挑んでこいと、誰からともなく背中を押されたわけである。メインステージに登場した星野源を、熱狂するファンとちょっとだけ距離をとったやや後方から、腕組みしながら観る。「しっとりした曲をやるのでカップルの人はセックスを始めてください。それで子どもが出来たら、『源』って名前にしてください!」と喋り始める。組んだ腕をほどいて、手を叩いて素直に笑うのだった。

企画・制作3社を丁寧に並べるMC
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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

gattoliberoTW 星野源のライブMC(笑)⇒「しっとりした曲をやるのでカップルの人はセックスを始めてください。それで子どもが出来たら、『源』って名前にしてください!」 2年以上前 replyretweetfavorite

gosan5553 なるほどね。この指摘は参考になります。「aikoと |武田砂鉄 3年以上前 replyretweetfavorite

ayako_0802 今はどんな表現フォーマットが受け入れられやすいのか。「自然体」で「丁寧」であることはかなり重要なポイントだなぁと思った。うまく言語化できていなかったのだけど、この記事で腑に落ちた。 星野源が嫌われない理由を探し https://t.co/UoqG0wKJYG 4年弱前 replyretweetfavorite

looomer 星野さんといえばこれ最近読んだ 4年弱前 replyretweetfavorite