「ボストンでもっとも就職したい会社」成長の秘密とは?
前回、アメリカの伝説的なロックバンド「グレイトフル・デッド」と、グレイトフル・デッドから受けた影響をもとにハブスポット社を起業し、「ボストンで最も就職したい会社」にまで育て上げたCEOのブライアン・ハリガンをご紹介した。ブライアンは、ハブスポット社の成長の秘密は企業カルチャーだと信じている。
「企業カルチャー」とはどういうものなのだろう?
固く表現すると「社員が共有する信念、価値観、慣習」のことだが、ブライアンは「上司がいないときに、個々の社員がどう行動し、どう同僚を扱い、どう決断するべきなのかを示す不文律」と噛み砕いて説明する。
では、なぜ企業カルチャーがそんなに大事なのか?
企業を作るのは社員だ。
優秀でやる気がある社員1人のほうが、無能で無気力な社員10人より会社にとって良いのは当然のことなのに、社員を大切にしない企業は多い。せっかく優秀な人を雇っても、大切にしないと辞められてしまう。
会社にとって最も効率が良いのは、「優秀な人が就職を希望し、社員がやる気を出し、長くとどまりたくなるような環境を作る」ことだ。その環境が企業カルチャーなのだ。
良い企業カルチャーを作るのは会社の成功のために最も重要なことなのに、重視している企業はあまりない。
自分自身が長年社員として働き、ベンチャー投資会社勤務経験もあるブライアンは、多くの企業が時代遅れの企業カルチャーをいまだに引きずっていることに気づいていた。
2010年代の若者をやる気にさせる企業カルチャー
ブライアンの父親の時代には、社員をいかに管理するのかを語る「マネジメント」の方法が重視された。そして、ブライアンの時代には社員を率いる「リーダーシップ」がマントラになった。また、終身雇用制を信じていた70年代の社員にとっては「年金」が仕事を頑張る理由であり、90年代の社員にとっては「高給」が仕事のモチベーションになっていた。