2012年11月14日。合計で3500人の店舗関係者が集った全国12カ所の会場は熱気であふれ返っていた。12月2~3日に開催される楽天スーパーセールを前に決起集会が開催されたのだ。
いくつもの店舗が集うショッピングサイトは、モール型と呼ばれるモデルだ。楽天のモール型サイト「楽天市場」の年間流通総額は昨年に1兆円を突破。日本最大の規模だ。
店舗関係者が集ったスーパーセールの決起集会。熱気あふれるモール作りが楽天の信条だ
楽天市場は何とも賑やかだ。カラフルな広告に、あらゆる商品が雑多に並ぶ。まるでディスカウントストアのドン・キホーテのよう。洗練されたページに、整然と商品が並ぶアマゾンとは対照的だ。
こうしたサイトは、そのまま楽天の現状を表している。現在、出店店舗数は4万店を突破。丸井やローソン、ビックカメラといった大手企業から、街のパパママストア、さらにはネットショッピング専業の店舗まで、大小さまざまの店舗群が集い、「売っていないものはない」と言われるほどだ。
スーパーセールでは車も売りに出たし、なんと本物のお城まで売られている。値段は9億8000万円(税別)。取り扱いアイテム数は1億1470万点だ。
ネットショッピングなのだから、目的の商品に簡単にたどり着ければそれでいい。楽天のサイトでは、そんな常識は通用しない。
「努力して学んでいただかないと、売れるようにはならない」
そう断言するのは、高橋理人・楽天常務執行役員。サイトの作り込みから顧客へのアプローチ、広告やポイントセールの活用の仕方まで、細かなノウハウを教える楽天大学という勉強の場を提供しているほか、450人いるECコンサルタントが常日頃から店舗と密接に関わり、二人三脚で売り上げアップを目指していく。
ECコンサルタントと店舗の関係も濃密なら、店舗と利用者の関係も熱い。
楽天に出店する各店舗のページは、写真や動画を交えながら商品について事細かに語るため、縦に長く伸びているのが特徴だ。一番長いもので、なんと9.2メートルにわたって、微に入り細に入り商品を説明しているのだという。
購入後はメールマガジンで顧客とつながっていく。つまり楽天はリアルの店舗顔負けの、ベタな客商売が受けるネットモールなのだ。
実際、楽天とアマゾン両方に出品している店舗関係者は口をそろえて「楽天の顧客はよくも悪くもワガママ」と言う。「値下げしてほしい」「オマケはこれがいい」などの要求もしょっちゅう来る。
何でもありの面白さが強みである一方、均一化された便利なサービスが求められる物流面では逆に弱みとなっている。
4万もの店舗がそれぞれ配送を手配しているため、送料も到着日数もまちまちでわかりにくいのだ。詳しくは1月28日公開の連載第5回「本誌判定!楽天vsアマゾン、ライバル5番勝負 勝つのはどっちだ?」で解説するが、楽天は現在、アマゾンとの比較で一番劣っていると言われる物流のシステム作りに乗り出している。
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