テーブルには、品のいい甘さのケーキが運ばれてきた。
「さて、デザートの時間は、甘い話でもしようか」
「甘い話?」
「結婚だ。君はガールフレンドがいないね?」
「どこを見てそう推理したんですか?」
「これは推理じゃないな。勘だよ」
「勘ですか……」
……勘で言われたほうが、傷つくものと、僕は初めて知った。
結婚は、“オワコン”化するのか?
「しかし、今からの話は、“彼女”がテーマではない。結婚がテーマだ」
「結婚……」
「君達の世代の言葉を借りるならば、結婚は“オワコン”化するということさ」
「そんなに結婚の未来は暗いのですか?」
「まずは数字で見てみよう(図3 −1)。すでに、男性の生涯未婚率は20 %、女性の生涯未婚率は10%になっている」
生涯未婚率の推移
「女性のほうが少ないのは……」
「何度も結婚している男性がいるからだね(笑)。まさに弱肉強食の時代だ」
「確かに結婚を躊躇する人は増えている気がするな」
「理由は何だね?」
「1人が気楽だからじゃないですかね?」
「結婚は、あくまで“制度”だ。男女のパートナーシップは、本当はもっと深いレベルで自然になされるものだ。そうだろう?」
「結婚の形は、小さい頃、両親を見て学ぶものじゃないですか」
「その通り。そして、自分もいずれ結婚することが当然のように思っていた」
「はい、まあ、そうですね」
「男性と女性のマリアージュ(有機的な結びつき)は世界で最も美しい姿の1つだ。しかし、人はつながり離れ、そしてまた結びつく。一方、結婚というのは、契約だ」
「僕の友人の女性の旦那さんが、浮気をしたらしく、その女性はカンカンに怒って、旦那さんに対して、ありとあらゆる措置をとると、息巻いています。その様子を見て、あぁ、元々は愛し合っていた2人なのになぁ……と寂しい気持ちになりました」
「民法では、浮気は犯罪だ。犯罪ということは、当然罰則も存在する。“結婚”は愛で始まるが、終わりは実に殺伐としている」
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