セブに着いたその日から、僕らは精力的にあちこちを見て回った。初日に聞いた中西さんや知り合いのお子さんの体験談が平均的なセブ留学の姿なのか、それとも例外的に悪いのか、まずはそこを見極めたかった。
日系、韓国系とあちらこちらの学校にアポをとっては訪れた。大変ありがたいことに大半の学校で実にオープンに見せてくださったため、セブ留学の輪郭がだんだんとはっきりしてきた。
まず驚いたこと、それは英語学校の多さだった。先生を数百人抱え、ビルの数フロアを占有する超大手から、わずか数名の先生で、小さな事務所ひとつで運営しているところまで、なんと150以上もの学校が存在するのだ。市場すでにレッドーオーションもいいところだった。今から参入するのは、あまりに遅すぎるのだろうか……。
次に驚いたこと、それは大半の学校で、「マンツーマンでたくさんしゃべる」以外に、これといったカリキュラムがないらしいことだった。なかにはカリキュラムについて尋ねると、「ただしゃべらせているだけです」と即答する学校経営者までいたのだ。ただおしゃべりしていればうまくなるのなら、カリフォルニアで僕の身の回りにいる日本人たちは誰も苦労しない。現実はそれほど甘くないのだ。10年住んでいたって下手な人は下手なままで、流暢に英語を操れる日本人はさほど多くない。
使用されている教科書もまた仰天ものだった。見学させていただいた9割9分の学校で、違法コピーの教科書が使われていたのだ。中には違法コピー本のさらにコピーしたものを使っているところさえあった。文字なんかかすれてしまってよく読めないのだ。
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